いま一番見るべきお笑い芸人YouTubeチャンネルは

 

 いまやレッドオーシャンとなってしまっているお笑い芸人YouTubeチャンネル。実際、テレビや舞台でお客を楽しませることに手馴れているひとたちなので、全員面白い。

 

 のだけど、やはり供給過多である点を考えると、だれかのチャンネルを継続的に追っていこうという気持ちになるには、なにか強い、ここにしかない、というようなコンテンツ性がないと難しくなっている、というのが現状なのではないか。テレビのバラエティ番組を焼きなおしても、それなり以上のものにはなりにくいのである。

 

 そんなお笑い芸人YouTube界にさっそうと現れたのが、このチャンネル「ナイツ塙の自由時間」である。ヤホー漫才で有名なナイツの塙さんが、ピンでやっているYouTubeチャンネルであり、非常に笑いどころが難解な動画を継続的にアップロードしている。

 

視聴者の声:

「自分がいま見ているのが何なのかわからない」

「ふつうに土屋さんと漫才の動画をあげればたくさん再生されるのに……」

「面白いし、目のつけどころも良いけど、登録者数には繋がらなさそう」

「ツチを那須に行かせるくだりは、塙さんが足の大怪我をした時に土屋さんが住み込みでしばらくビンゴ大会の司会の仕事をしてた時期があって…ってファン以外誰がわかるか!www」

 

(6/13追記。削除されていてびっくりしている。幻のドラマになってしまった。明らかに3本くらいしかないリュックのなかのペットボトルを見て、「10本…」って言うシーンとか好きでした)

 

 謎のドラマだけではなく、やや悪趣味な企画動画も撮られている。そのなかでも白眉は「M-1グランプリ2019全5040組の最下位決めてみた」という2本組の動画である。

 

 しかしさすがに全5040組を見るわけにもいかないので、面白くない(であろう)コンビをピックアップするためにコンビの名前だけで絞り込むという手法を用いているが、これはイタリアの文学者フランコモレッティさんが『遠読』で提唱した文学研究の画期的な新手法を漫才に応用したものと位置づけられるだろう。

 

遠読――〈世界文学システム〉への挑戦

遠読――〈世界文学システム〉への挑戦

 

 最後には豪華審査員を迎えて、本当に最下位を決めていて面白い。

 

 この「ナイツ塙の自由時間」がライバルとしているのがこのナイツ土屋が顔出しも声出しもせずひたすら消しゴムサッカーのスーパープレー動画を投稿しているチャンネルである。個人的にいま一番見るべきお笑い芸人YouTubeチャンネルはこれだと、胸を張って言いたい。

 

 スペイン語や英語バージョンの動画も公開され、ナイツ土屋ではなく、ひとりの消しゴムサッカーのプロモーターとして世界に動画を届けていこうという心意気が見える。

 

f:id:kageboushi99m2:20200611144712p:plain

f:id:kageboushi99m2:20200611144954p:plain
https://www.youtube.com/watch?v=iesbL-LZDE0

 リーグ戦も開催されているらしい。死ぬほど笑ってしまったけど、笑うだけだとよくないので、今後はJリーグプレミアリーグだけでなく、消しサカリーグも追いかけてみようと思います。