Only God Was Above Us

 

Vampire Weekend(ヴァンパイア・ウィークエンド)|『Only God Was Above Us』米オルタナ・バンド最高峰!5年の沈黙を破る5作目のアルバム - TOWER RECORDS ONLINE

 

 4月上旬はVampire Weekendのこのリリース「Only God Was Above Us」でもはもちき(もはやその話でもちきりの略*1)でしたね。私もずっと聞いていました。今回はこの10曲の、音楽としての内容は置いておいて、タイトルのカッコよさについて語っていきたい。

 それぞれ調べたらエズラのインタビューとか出てきて由来とか書いてある可能性はありますが、そこまで調べると考察厨みたいになっていやなので、あくまで第一印象をベースに語っていきたい。

 

M1 Ice Cream Piano

 こ~れ~、まじでかっこいいですよね。ウォレス・スティーヴンズが*2証明した通り、「アイスクリーム」という言葉は詩的でウィットに富んだテクストのタイトルとして、非常にポテンシャルがあるんですよね。それにとり合わせる「ピアノ」も、シンプルながら非常にいい出会いになっていると思う。

 

M2 Classical

 まあ今回の10曲の中では「どこにでもありそう度」で言えば高めなのですが、アルバムの中にハイカロリーなタイトルばかり並んでいるのもあれなので、……という抑え役なのだけどふつうに「Classical」というのはかっこいいと思います。

 

M3 Capricorn

 これは「やぎ座」という意味の単語ですね。さすがに単体でかっこいいとかかっこわるいとか言えるようなものではないが、たぶん、歌詞との兼ね合いでカッコよかったりするのでしょう。かっこいい。

 

M4 Connect

 コネクトと言えばもう日本のアニメ界では名曲と決まっているので議論する必要はないでしょう。何気にここまで狙ってか狙わずか頭文字「C」が続いて*3おり、続けて聞くとなんというか神聖なリズムの気分になりますね。

 

M5 Prep-School Gangsters

 これはいかにもタイトル然としたタイトルでいいですね。違和感のある言葉の並びなので、中身が気になっちゃう!というような。見えるところに並んでいることに映えるワードである。

 

M6 The Surfer

 これも「Capricorn」と同じで単体でどうこう言うようなことはないのであるが、でもアルバムの中間に意味深に「the」つきで座っているシンプルな単語というものはつねに魅力的なものです。

 

M7 Gen-X Cops

 こちらはまた吸引力のある、タイトル然とした言葉の並びである。でもどっちのワードも、こういう系のタイトルにするにしてはやや手あかがついているものなので、……まあ、いや、悪口を言う立場にはないので、きっと曲の内容と非常にマッチしていてかっこいいのでしょう。最高である。

 ちなみに曲としては一番これが好き*4

 

M8 Mary Boone

 これは初見では「人名?」という程度で無知だったのですが、ググってみるとアメリカの有名な美術商の名前らしいです。いかにも、Vampire Weekend感のあるタイトルワークでいいですね。

 

M9 Pravda

 こんなアルバムの終盤にきて、「プラヴダ」!? 嘘だろとてもダサいと思ってしまったのだが、Vampire Weekendのひさびさのアルバムの、こんな大事な位置の曲なのだから、なにか考えがあってのことなのだろう。それを計算に入れると素直にかっこいいです。

 

M10 Hope

 これも「Hope」なんて曲を最後に置いちゃっても全然格好がつくクラスのバンドであることをよくわかっている一撃ですよね。21歳くらいの駆け出しバンドの1枚目がこの終わりになることは、周りの大人は一度止めるものな。

 

まとめ

 というわけで「Only God Was Above Us」の曲のタイトルだけを見ていきました。みなさんが好きなのはどの曲のタイトルですか?

*1:いま僕が考えたわけではなく元ネタがあります。

*2:米澤穂信もちょっとしたかもしれない。

*3:Creamも含めれば4連続。

*4:ただファーストインプレッションではこれ!となりやすい曲なきもするのであとあとは変わりそう。

席替えで君は死者の隣に


 夏休みに死んだ叶人と席替えで隣の席になった翌日の夜から、僕は叶人のいる夢を見るようになった。最初は恐ろしかった。海の底に消えていったはずの叶人が、「おはよう」となんでもなかったように挨拶してくるんだから。しかも僕は叶人とは友達じゃなかった。

 夏休みが明けた最初の日、窓を真っ黒なフィルムで覆い、クラスみんなで電気を消してろうそくをつけて叶人へのお別れ会をやったところまではまだみんな道を外してはいなかった。その次の日に、先生が「いなくなったお友達も含めて、いっしょに席替えをしましょう」だなんて言ったのが間違いで、そのとき僕は泣いたり暴れたりしてどうにかしてでもこの悪い流れを断ち切るべきだったんだと思う。けど僕はもう小学校4年生で泣いたり暴れたりするような年ではなかった。男子も女子も何名かが泣いて拍手をしてその案に賛成をした。気味の悪さは悪いくじを引いた誰かに押し付けるつもりだったんだ。僕は心の中で強く反対したけれどおなじ気持ちだった人はほかにも何名かいたんじゃないかと思う。植物委員の立花壮図、お楽しみ係の梓川嘉納あたりはそうだったんじゃないだろうか。ふたりとも、授業中にはおしゃべりをしているし、真面目にしているときよりふざけている時間のほうが多いけど、物事の良しあしを見極める目はほかの人とは違ってしっかり持っていると思う。とくに嘉納は自分の計画したお楽しみ会が叶人へのあんなお別れ会で中止になってしまって、やるせなさと憤りでいっぱいだったんじゃないだろうか。真っ暗な部屋で先生が「ありがとうのうた」を唱えている間隣のクラスからは笑い声とお菓子を分け合う音が聞こえてきていた。先生は人聞きの悪い宗教にハマっているというのは親も生徒もみんなが言っていることだった。「1年間我慢すれば済むことじゃない」と親は言った。みんながそんな感じだから、先生は学校を辞めさせられることもなく、来年もまたあたらしい4年生のうちの不運な5分の1クラスを担当することになるのだろう。

 死人には、そして夢のなかであれば何を言ってもいいだろうと思った。死は「なくなる」ことで、夢のなかっていうのはつまりは現実ではないということだ。お前が死んでから、クラスはめちゃくちゃだよ。叶人はよくわかっていない様子で首を傾けて、「そんなことよりさ。チェスしね?」と言った。1学期の間はクラスに持ち込んでもOKだった将棋が流行っていて、2学期はチェスだった。……いや、チェスにしようと叶人が決めたのだ。クラスの中で何が流行りの遊びなのか、決めて実行するのはいつも叶人だった。「将棋なんてよく考えてみればダサいぜ、漢字が書かれているんだから。チェスはかっこいいぜ。白と黒なんだから」叶人が言うことは僕らのクラスに響き渡り、最初の一瞬だけうさん臭く聞こえたが、すぐにあまねく受け入れられる真実になった。叶人に言われるまで、僕らはこんな簡単なことに気づいていなかったってことにさせられるのだ。

 僕は覚えたてのルールでポーンをふたつ前に動かし、叶人も反対側のおなじ場所の駒をそうした。駒の色の白と黒だけが違っていた。キングを取れば叶人の命も取ったことになって、こんなバカげた夢は終わるんじゃないかと思った。けど、そんなことはなく、叶人は自分の形勢が悪くなり、もはや僕相手に挽回不能になるといさぎよく頭を下げて投了してしまうのだ。白のナイトは、クイーンは、いつもすんでのところで黒いキングにとどめの刃を突き立てる機会を奪われる。あるいは、黒のルークやビショップが白のキングを獲り逃す。2回ほど対局をしたら、ちょうど45分が経ってお昼休みが終わる。夢はいつも、学校の門をくぐった瞬間から始まり、下校のチャイムが鳴った瞬間に終わる。僕は朝7時に起きて現実の学校に丸一日通ったあと、夢でもおなじ一日を過ごすのだ。違いは叶人がいるかいないかだけで、時間割も授業の進みかたも日直順もたまたま休みのクラスメイトも、なにもかもが現実と同じ夢だった。これがどれほど疲れることか、わかってくれない人はいないんじゃないかと思う。ふつうの人の二倍の一日を生きているのと同じだ。けどそのかわり、授業の理解度は良くなった。一日に二回も同じ授業を受けるのだから。僕は頭も悪いほうじゃなかった。授業なんて1回聞けばだいたいのことは理解できた。それを表と裏のように立て続けに2回繰り返すのだ。もともと上のほうだった成績は、叶人が死んでからはさらに上がって、ほとんどのテストで100点を取るようになり、うちの両親は喜んだ。

 「はあ、本当にお前意味わかんないって。頭良すぎな? なに言ってるかわかんねえよ」お前はもう死んでるんだから、僕の夢に出てくるなよとどれだけ伝えても、叶人はその事実を認めようとしなかった。あまりにも認めないので、叶人は自分が死んだことをわかっていないか、信じ切れていないのではないかと思った。なので僕は叶人の死んだときの話をすることにした。お前はやんちゃで、クラスでは人望があって、自分にできないことは何もない、つねにみんなの注目を集めるようなことをするのが自分の使命だって思い込んでいるやつだ。だから、夏休みに海岸で古びたカヌーを見つけて、それに乗り込んで漕いでみるなんてことをしたんだ。まわりには男子女子含めて6人ほどいて(もちろん僕はそこにはいない)、その全員がお前がいくら大丈夫だって言ってもそのカヌーに相乗りするような馬鹿な真似はしなかった。最初はお前はカヌーをうまく操縦していた。岸から遠く離れて、岸に残った友達におーいと笑いながら声をかけた。お前は注目を集めた。きっと岸に残った6人が馬鹿で臆病に見えただろう。取り巻いているだけが頼みの、価値の低い人間だと心のどこかで思ったんだろう。ちがうんだよ。そもそもそこにいっしょにいなかったほかの29名のクラスメイトほどじゃないけど、あの6人は賢明で、馬鹿はお前なんだ。カヌーは離岸流につかまった。お前も岸の6人も最初はふざけて笑いながら驚いていたけれど、しばらくしておたがいが点で見えるだけの大きさになって、岸の6名は救助を呼び、お前は手に豆を作りながら流れに逆らって懸命にオールを漕いだ。あるいは泣いれあきらめて流されるまま漕がなかった。そのうち、船底の割れ目(それがあるからカヌーはあんな場所に放置されていたんだ)からしみだしていた水がどんどん大きくなっていって、海上保安庁も捜索したけどお前はその前に息ができなくなって死んだんだ。

 「そういう夢なら見たことあるよ。あれはマジでビビったね。あれね、起きたときにもマジで数秒間息ができなかった。お前もある?」叶人があまりにも自分の死を認めないので、おかしいのは僕じゃないかと思うようにもなってきていた。昼の学校で、額に収まった写真だけが置かれた隣の席を横目で見ながら、すこし広くスペースを使って教科書を広げ、本当に死んでいるのは僕なのではないかと考える。ありえないことではなさそうだった。そして夜にも同じ授業を叶人と並んで受ける。一度聞いたことなので、先生の話は全部聞かなくても大丈夫だ。手が空いた頭で、僕は考える。こちらのほうが現実である可能性もあるんじゃないかと。そしてこうも考える。こっちが現実だとして、なにか不都合があるのかと。あちらの世界には、……単純計算でひとり、死んでいる小学生がいて、その死を悲しむ親類や友達がいて、その死によって秩序が乱れてみんなで道を外れてしまったクラスがある。僕だって最後のグループに属するひとりだ。叶人が死んでから毎日見る夢のおかげで、現実や死、夢や幸せなどについての感覚がおかしくなってしまっている。どちらがどちらかたまに見分けられなくなる。毎日、二重の生活のはざまで漂って疲れている。

 そして一ヶ月が経とうとしていた。一か月は僕たちのクラスにとって、叶人が死ぬ前からとても重要な区切りだった。月の頭の日の朝最初の空き時間を使って、席替えをするのだ。僕は忙しい日々をこなしながら、あるとき次の月が近づいていることにふいに気づき、ほっとしたのを覚えている。そしていま次の月はほぼ目前だった。隣の席を見やると、ビーズの花で額装された叶人が笑顔で僕を見返してきた。今にもルークに手を伸ばして僕の陣地へ、あるいは陣地などはなく空中に浮いたキングに最後の、望みのない攻撃をかけてきそうな笑顔だった。もう一手僕に渡せば叶人の王様が詰むことを知ってか知らずかして、それでも攻めてくるのだ。そこまでイメージしたあと、僕は白昼夢を断ち切った。どうせ今夜みる夢なのだから現実の世界でまで思い煩うことはない。しかし、今夜夢のなかで叶人のいる学校に行って、実際に休み時間に盤を挟んで向かい合い、叶人が最後の攻めに手を伸ばして来たらどうするだろう?と僕は思った。先生はおかしくなったままだった。学校もまだ歪んでいた。うちのクラスだけは、ほかの4つのクラスと違っていて、現実には戻れないままだった。僕は夢のなかでも現実のことを考えていた。現実の時間帯に、もし夢のなかで僕が叶人と一線を越えてしまえばどうなるだろうと考えていたことを、夢のなかで思い出していた。チャイムが鳴った。

 「俺は勉強してきたんだよ」叶人は図書室色のバーコードが印字されたポケットサイズの本をカバンの中から取り出した。そこにはチェスの基本的な考え方と、勝利の方法が記されているようだった。しかし僕は覚えていた。現実の世界で、同じく将棋の本を借りてきた叶人が、ほとんどその内容を理解しておらず、友人たちが彼に勝つのはその後も変わらず容易だったことを。しかし、ここは現実ではなかった。「いいぜ。かかって来いよ」僕はそう答えて、叶人の一手目を待った。叶人の一手目は今まで見たことのない列の駒を進めるものだった。僕は長いあいだ考えた。休み時間が終わり、次の休み時間が来るまで考えていた。先生は呪文のような言葉をうなっていた。教室は静かで、クラスメイトは先生や叶人の言うことを受け入れていた。席替えで僕は、死者の隣に来てしまっていた。

 次の休み時間が来るまでに、僕は最後までを考え終わっていた。僕は叶人の駒に自分のキングを触れさせることを選ばず、代わりに最短距離で、叶人の息の根を止めに行った。次の休み時間で大勢は決し、僕は手元にあふれさせたもとは叶人のものだった駒のいくつかを、床に転がしてしまいおそらくひとつ失くしてしまった。叶人はそれを気にも留めなかったか気づきもしなかった。その次の休み時間――昼休みに最後の粘りをはねのけて叶人のキングを取ったあとも、チャイムが鳴るまでの時間はたっぷり余っていた。叶人はもう一回試合をすることを選ばなかった。そのかわりつまらない顔で、「いっしょにトイレに行こうぜ」と誘った。

 目が覚めて支度をして、疲れた体を押して学校へ行くと、先生が朝すぐに席替えを提案した。その時はまだ生徒も半分脅しかいない朝早くだった。しかし、叶人のぶんもあわせたクラス全員分のくじが用意される頃には、この儀式につきあうクラスメイトは、全員教室に顔をそろえていた。先生が声をかけた順にみんなは教壇に上がり、折りたたまれた紙を浅い段ボールの受け箱から拾った。僕もそれにならって拾った。くじには数字が書かれていて、教室の席と一対一対応していた。

 ひとまず僕は今回は叶人の隣に座ることはないだろう。叶人と友達だった夢を見ることも二度と。なぜかそんな確信があった。しかし、では今度は誰が叶人の隣になってしまうのか?

 植物委員の立花壮図、お楽しみ係の梓川嘉納あたりであってほしいなと僕は思った。あのふたりなら、うまくやれるだろうから。それから、クラスメイトの顔を一通り見渡した。もし、その二人以外の誰かだったら、先生は、このクラスの皆は、そして僕は。先生が合図をし、みんなは引き出しの中身と自分の荷物をもって新しい席へ動き出した。途中でチャイムが鳴り、僕たちの動きは、とても早まっていった。

サッカーってうまくなると一周回ってこうなるんだ~23-24シーズンUEFAチャンピオンズリーグ ラウンド8 1stLeg レアル・マドリーvsマンチェスター・シティ~

 

 ディレイで見る予定だったのですが*1は、深夜目が覚めて、ふと時計を見たら4時2分。これは日和ってられねーよな!😤ということでTVを立ち上げたときがちょうど、ベルナルドのフリーキックがゴールに収まっていくところでした。

 

 そのあとも、なんとかボールを保持してシティ向きの流れを止めたい時間帯に、取ってもらえないファールというのが立て続けにあり、これは厳しい試合か…😖と思いかけたのですが、――そのあとの10分! 4時に目を覚ましたことが報われるまでそんなに長い時間待つ必要はありませんでしたね。

 

 その後も前半の間はスコアこそ動かなかったものの、シティの攻撃をわりと封じて時間を進めることができたのだが、後半になるとシティの修正なのか、ガードの上から殴られ続けたことによる疲弊なのか、また渋い展開に。最終的にはボックスの外でフリーを作ってしまい、そこからゴラッソをふたつ決められてしまう。

 

【R・マドリード vs マンチェスター・C】UEFAチャンピオンズリーグ 2023-24 準々決勝 1st leg/1分ハイライト【WOWOW

 しかしそこからも果敢だったのが今日のマドリーとアンチェロッティである。ビハインドになった瞬間交代カードを切って、180分の試合ではなく、とにかくこの90分を獲りに行くのだという姿勢を明確にした。(少なくとも失点の前までは)守備に非常に効いていたクロースを下げてその位置にモドリッチという采配だったので、なかなかリスクのある決断だったと思うけど、結果的にはそれで流れを一部引き戻すことができた、最良の判断だったのではないでしょうか。

 最終的にはバルベルデが絶句級のスーパーボレーを沈めて3-3で折り返すことに。

 

 「受け一辺倒ではなく五分でやれたが、とはいえホームで五分だと物足りない」「カードトラブルも最小限に抑えたが、とはいえチュアメニは出場停止となってしまった」「ロドリゴ左は成功したが、とはいえヴィニシウスやベリンガムはフラストレーションのたまる結果に」

 戦果としては上記のように、悲観するほどではないがかといって楽観する要素もない、ということになりそうでしょうか。

 

 xG流れてきたの見たけどひさびさにこんなに気持ち悪い数字の眺めを見た。サッカーってうまくなると一周回ってこうなるんだ。

*1:2ndLegの日には休みをとってある。

たこ焼き ほか

 

たこ焼き

 高校時代の友達からたこ焼きの画像がLINEで送られてきて、ああ、いまアイツは沖縄でたこ焼きを食べているんだなあ…と思いをはせる、……という内容の夢を見た。その後その話をその友人にLINEしたところ、「仕方ないな…」と言われてたこ焼きの画像を送ってもらうことができた。

 

 というわけでたこ焼きの存在感が高まっていたところで、ちょうどたこ焼きくらいでいいかという小腹の空き具合の日があったため、たこ焼きを食べてきた。沼津の駅前商店街にある、小さいながら存在感のあるお店で、いつかは行ってみたいと思っていたのである。

 

 たこ焼きは薬味がたっぷり乗っているとろとろのもの。お酒のアテとしての性能も高く非常に堪能したのですが、やっぱ一人でしっぽり飲むにはロットが大きいよな~という気持ちもある。なんでもいい日というよりは、たこ焼きを食べたい日にまた行きたいですね。

 

『英国紅茶論争』

『英国紅茶論争』(滝口 明子):講談社選書メチエ|講談社BOOK倶楽部

 というBOOKを読みました。中国からやってきた謎の飲み物「茶」がイングランドで定着、覇権を握る前には、やれ「こんなものは体に悪い」だの「いやむしろいい。100杯飲んだほうがいい」だのさまざまな論争が論客たちの間で交わされていたらしい*1

 その当時の文献をたどりながら、お茶が最初のころどんなふうに言われていたのか、それに加えて茶器だったりティータイムだったり、お茶の性質を調べる科学的実験も行われていたよ👩‍🔬だったりといった、英国のお茶にまつわるさまざまなトピックを並べた本である。あまり学術的な体裁ではなくある程度自由に書かれたエッセイといった感じ。

 

 お茶もイングランドも好きなので、楽しく読みました。

 

サッカー情報チャンネル 「コウタ / Kota」

【一挙紹介】UCL準々決勝直前!8強それぞれ不安あり?見どころ徹底解説【チャンピオンズリーグ

 というサッカーYouTuberを最近よく見ている。台本・顔出し・生声*2のスタイルで、欧州サッカーのトピックを、現地メディアの報道やスタッツなどを参照して客観的にまとめている動画を投稿している。

 

 いい意味で「YouTuberとしての個性」を重視しないスタイル*3で、トークとかではなく、しっかり情報をキュレーションされた状態で聞かせてくれるのは、忙しいビジネスマン(応援クラブの試合を見るので基本的には可処分時間がいっぱいいっぱい)である僕やみなさんにとっては非常にありがたいですよね。

 

【戻ってこないか?】チェルシーが逃したユース出身選手TOP5【再獲得しろ】

 単にニュースを追いかけるだけではなく、たまにある切り口のある情報も面白い。ある程度インしている雰囲気はあるものの、まだ回収フェーズには入っていないので早く報われてほしい🙏。非常に良いコンテンツを作っているので、それに値するアテンションは受け取るべきでしょう。

 

*1:現代のなんやかやと同じですね。

*2:声もしっかり作りこまれており非常に聞きやすい。

*3:例えば本人の推しクラブとかもあるのだろうが、基本的には言及せず、フラットな視点で情報を取り上げたり、語ったりしている。

労働はかわいい~藤沢カミヤ「ウサギ目社畜科」~

 

[第1話]ウサギ目社畜科 - 藤沢カミヤ | 少年ジャンプ+

 というマンガを読んでいました。

 

 激しい労働に励み、その結果家事がないがしろになっている若いサラリーマン・真司郎の下にやってきたのは、月からやってきたウサギ。しかし月のウサギはじつは働いているあいだじゃないと自らを保つことができない*1、筋金入りの仕事中毒種族だったのである。仕方なく真司郎は月のウサギ・ふわみを月給一円で雇用、家で労働させることにする。そんなハードワーカーたちが織り成すすこしかわいそうな労働コメディマンガがこちら「ウサギ目社畜科」である。

 

 基本的にはなにも難しいものは背負っていない*2、気楽な雰囲気のマンガで、なんかひとにとてもおすすめするようなことではないのですが、でも個人的には性癖に刺さってなかなか好きな漫画でした。ウサギたちが労働を強制されていて、しかもそれを自分が望んだことだとして、脳に労働が刷り込まれてしまっているのがかわいい。働けなくなると、自害しようとするんですよ。

 

 幼少期にこの表紙の絵本を本棚で見かけて、すごい惹かれたけど「これを読んだら歪んでしまう」という防衛本能が働き、結局手に取ることはなかった、という趣旨のツイートを最近見かけたのですが、それに近いことを思ったマンガ作品でした。

 僕はいまは大人で、精神も成熟しているので「まあ大丈夫だろう」と思って読むんですが、「ウサギ目社畜科」をまだ子供のころに見かけたとしたら、まあ読まないほうがいいだろうなと賢察しそっ閉じしたと思われる。

 

 僕もそうでしたが、以下のような特徴に当てはまればこの本を楽しめるかと思います。

  • 現在過酷な労働に従事していない*3
  • キュートアグレッション(かわいいものを見ると攻撃したくなる)がある。
  • 逆張りしていて「ちいかわ」を見ていない。

 

 僕がよくツイートを見ているピエール手塚さんもこのマンガを激押ししていた。それくらいおすすめです。(ポイント還元は終わっているかと思いますが)

*1:働いていない時間が長くなると物理的に溶けてしまう、という設定である。

*2:ギャグも基本的にはウサギが「喜んで自発的に労働する」の1パターンしかない。それで十分ともいう。

*3:ハードワークとはいえ作中で描かれるのは基本的には現実感のないおままごとなので、現実にやってる人には向かないでしょう。

ロケットは月まで行って

 

ロケットは月まで行って
切り離されることなく
帰ってきた
両想いの楽しさ

両想いかどうかわからない
行きの道の切なさ

なぎさ橋を渡った
宇宙に行くものなのになぜか
地上の名前をつけて

夕暮れになっていた
赤い火は失敗の合図だ

僕たちは湾岸公園に行って
そこではだれも救わなかったけれど
なんとか
日が沈む前に帰ってきた

部屋の中では
取り外されたカーテンがソファに
複雑な層をなして
折り重なっていた

最近得た語彙 135個 +α

 

変調
コンサーティーナ
バク
けっこい
流れ山
薬店
ウイロイド
翠雨
そっくりどうぐ
話中音
ドリームキャッチャー
オフチューブ中継
オープンシート
避粉地
リングバックトーン
トリアーデ
赤ちゃん主導離乳食
夏下冬上
DNP
smother
激勧
太平燕
オポネント
ブラブラカー
衛正斥邪
クレ・ド・ポー
Leap day
ポッシュ
バーダックデバッグ
ぐり茶
思い出王手
コゴミ
側対歩
組合立高等学校
quirky
泥田坊
ワイル粒子
深瀬昌久
騙取
エスクロー
ブラケットクリープ
バーゲニングポジション
加食
陶板名画
畦編み
野暮天
グラペット
腹打ち飛び込み
unhinged
口ゴボ
痛税感
朝生菓子
幸先詣
d-pad
よろめき
コイガ
騸馬
津波
rain check
妓生観光
出挙
政治ストライキ
仮囲い
技術士
希望休
壟断
移行期正義
角遂
アーメンブレイク
JNetHack
栽培醸造
稲庭戦法
ワーキャー
イカ
性齢
場所見知り
回付
にこ毛
好きな惣菜発表ドラゴン
フリンジ
名親
貨幣石
呼びタメ
ブロックリーブ休暇
アンノン族
夜光貝
未熟土
タイトル・ドロップ
miscellaneous
デスコン
古蜀
HUD
カルペ・ディエム
Shell Jump
third wheel
メスティン
蜜源植物
忌地
マンパ
克山病
刀伊の入寇
MEO
モラセス
カットアウト
ガストリック
シーグラス
浪淘沙
路側通信
ロングライフ牛乳
testicles
推拿
フッテージ
ハトメ
ワンマイルウェア
ノーアクションレター
転旋
Gladrags
白酒
High Claim
春意
おばんでございます
造就
イカーベイカーパラドクス
海洋恐怖症
務歯
ベタオリ
焙烙
スイスチャード
トレビス
scaffold
デギュスタシオン
封印列車
空閑

 最近ゲットした語彙をただべた張りするという非常にコンテクストの高いブログを数年続けているのですが、今回はその中の一個があまりにも好きだったのでピックアップして皆様にも紹介します。

 

 それがこれ、

 

rain check

 

英語「rain check」の意味・使い方・読み方 | Weblio英和辞書

 野球とか野外コンサートとかのイベントが残念ながら雨天中止になってしまった際にチケットを買った客に渡して、「延期してまたやる日にはこれを見せたら入れますよ」というやつを指す言葉らしいのですすが、よりエモいなと思ったのはそれが転じて日常生活で使われるようになった3の意味。

 人からの誘いをどうしても都合が合わなくて断る時あるじゃないですか。そのときに「レインチェックを渡しますよ」みたいに言うことで、今回はあれだけど次は埋め合わせするから、みたいな意味になるらしいですね。

 

 若いころ、遊ぶ約束をしていた友達が電話一本でドタキャンしてきて、そのまま彼は失踪、長いあいだ会うことはなかったのだけど老境に差し掛かったころにひょんなことから彼と再会し、それまでの人生に起こった数奇な出来事をふたりの男が交互に語り始める*1――。みたいなストーリーの映画1本できますよね、これモチーフで。

 最後のシーンはもちろん、男のひとりが「今日は話疲れちまったな。でもまだ聞きたいことがあるよ。どうだい? これから一杯?」と誘い、もう一人の男が「すまないね。今日は用事があって。また次回にしよう」と答える。二人はにやりと笑って別れる。音楽が鳴って、エンドロールへ。これで決まりでしょうな。

*1:二人はお互いの存在に気づくことはなかったけど、これまでの人生で実はお互いの運命に大きな影響を及ぼし合っていた、みたいなギミックがあるとかなりポップになっていいと思います。