ロケットは月まで行って

 

ロケットは月まで行って
切り離されることなく
帰ってきた
両想いの楽しさ

両想いかどうかわからない
行きの道の切なさ

なぎさ橋を渡った
宇宙に行くものなのになぜか
地上の名前をつけて

夕暮れになっていた
赤い火は失敗の合図だ

僕たちは湾岸公園に行って
そこではだれも救わなかったけれど
なんとか
日が沈む前に帰ってきた

部屋の中では
取り外されたカーテンがソファに
複雑な層をなして
折り重なっていた