台風ではなくただ雨と風が


台風ではなくただ雨と風が
強いだけで警報が出ているある日に
もうおれのことを好きではないだろう女が
荷物を取りに部屋に戻ってくる

おれは小さい
小さくなった
小さい氷から使っていく
炭酸水を作ってグラスに入れる
開けっ放しのドアは
あいつが気に入って選んだ
製氷機付きの冷蔵庫だ

あいつの作品は
かろうじてコントロールされた
あいつの攻撃性だった

おれは上っていく
上っていった
上っていく泡を見つめた
チェリーを浮かべる
幻想をした
自分には
コントロールできないものからは
手を離してじっと
見つめるだけだ

インターホンが鳴る
もうすぐ
おれのことをまだひょっとしたら
好きかもしれない女が
インターホンを鳴らす
もうすぐ
鳴らすだろうから
鳴らすまで
おれは換気扇の鳴る
キッチンに立ち尽くしているだけだ