お姉さん…… 6人いなくてもいいんじゃないかな!~森本梢子「高台家の人々」~

 

 という妙な生活感のあるなまけもの描写で始まるこちらのマンガが、森本梢子さん作の「高台家の人々」。面白かったので紹介していきます。

 

高台家の人々 1巻(YOU/マーガレットコミックスDIGITAL/集英社) | 森本梢子 | 無料試し読みなら漫画(マンガ)・電子書籍のコミックシーモア

 こちらの紹介画像では「特殊な能力」と伏せられているが、まあたぶんそんなに伏せる必要はなくて、なんとこの画像に映っている3名は「周りにいる人の心の声を読むことができる」エスパー能力者だった……!

 

 相手の本心を知ってしまう、という能力のせいで他人との間に壁を作って暮らしているこの高台家の兄妹弟の間に、思わず笑ってしまうような突拍子もない空想をいつも頭の中で繰り広げていること以外はとくにとりえのない、地味な会社員女性28歳が入っていく。そして、その彼女の存在が、3人をすこしずつ変えていく――、といったお話。

 

 作中では3兄妹を含めた、5人のテレパス能力者が登場し、それぞれのふしぎな恋愛模様が語られる。ひとつひとつのエピソードは、機知に富んでいて温かくて、スイートから(まれに)ビターまでさまざまな結末があってこれもなかなか面白い。

 

 ただ! このマンガのいちばんいいところはほかにあって、めちゃくちゃギャグが面白い、というのがそれである。お笑いの多くは、主人公が妄想をして、そこに心が読める面々がツッコミを入れる、というところにあって、それがマジ練られていてセンスがあって面白いんですよ。

 

 試し読みで読める範囲で、それが伝わるところないかな~と思って探してみたのですが、見つからなかった。一番惜しかったのが2巻で、試し読みはこの右ページでで終わっちゃっているのですが、この左ページのこのコマ! ここがやばい。

 

「恐ろしいほどの潜在能力」

「筋肉が確変する」

 というギャグが入っているのですが、はじめて見たとき腹を抱えて笑いました。

 

 全6巻のマンガで、集めやすいのもいいポイント。*1次に読むマンガに困っていて、気軽だけど質の高い、笑えるラブコメとかいいな~と思っている人には非常におすすめできます。

 

 ちなみに読み方は「こうだい」家の人々。「たかだい」ではありません。

*1:逆に悪い点としては、「テレパシー能力をもつ人間が、他人と親しい関係性を築けるのか」というシリアスなテーマに、クライマックスに向けてとりかかるのですが、それはうまくいっていない。