チームがバラバラじゃねえか!

 

スパーズ・ジャパン

 

 完全にこれ状態である。

 

 個人的にはコンテの言うことにはほとんど納得できない。「心の中の火」とかいう、存在するのかどうか、関係あるのかないのかもよくわからないもの、こじつけてしまえばなにもかもそれにこじつけられるようなものごとを理由にして、チームの低パフォーマンスについての自身の責任を一部あるいは全部免じてもらおう、という態度の人間を責任ある立場につけることができるんですか。

 たぶん、クラブの上層部もそうは思わないだろうし、コンテもわかっていて、「ここまで言ったんだからさっさと解任しろ」(いちおうシーズン末まではしゃーなしでここで仕事をするつもりだったが、もうどうでもいい。時間がもったいない)くらいの気持ちなのであろう。

 

 ただ今となっては、コンテ招聘(というかモウリーニョ招聘)の段階から大筋では負け戦だったのかな、とは思う。

 

 イングランドでも指折りのスタジアムと練習環境に投資して、いい選手を買いあつめる膨れ上がるばかりのマネーゲームからは、すこし視線を離したところでクラブの価値を高めていく。……というのがトッテナムというクラブの長期戦略だったと思うのだけど、ハリー・ケインという存在があまりにもクラブにとって、(ピッチ上だけではなく経営的な側面においても)重要すぎたのが歯車の狂いはじめだったのかなと思った。

 

 「ケインはトッテナムを出ることをいとわない」「ケインを引き留めるにはタイトルが必要だ」というのが、メディアの記事や本人の試し行動、そして実際のクラブの動きによって主流のストーリーになったけど、そこで分かれ道を知らないうちに行き過ぎてしまっていたんじゃないかと思う。このクラブに必要だったのは、ケインがいるうちのタイトルではなく、「いそがず、あせらずに長期プランを遂行すること」だったのではないかと。

 

 そもそも、「マネーゲームに参入せず、地道にチームを強化する」と「欲しいタイミングでタイトルを取る」というのは分の悪い二正面作戦。でもそれを強いられることになったのは完全にこのクラブで今後これ以上の才能が生まれるか怪しいほどのスーパースター、ハリー・ケインがいるから。まさに財産は同時にその身を縛るものである、という感じである。*1

 

 とはいえケインもこれから望みをかなえられるような移籍をするのは至難の業だろうし、かといって残ってもタイトルに獲得のための資金面の譲歩を、これ以上クラブから引き出すのは難しいだろう。

 クラブもクラブで、スカッドはポテンシャル型とも即戦力型ともいえないいびつなものになっていて、戦術面での蓄積があるわけでもないので、長期プランに戻るにしても、サンクコストを追いかけてなんらかタイトルを目指すまで潜るにしても、微妙な状態である。

 

 身売り騒動も出ているなか、愛してやまないクラブの未来はどっちだ……?

 

 こんな状況で、いちファンにできることといえば…。

 

ぼく「チームがバラバラじゃねえか」

エメルソン「みんなちゃんとまとまてるよ」

ぼく「やる気あんのか!」

ホイビュア「次は絶対勝つ」

ぼく「その言葉、信じていいんだな」

ダビンソン・サンチェス「次は絶対勝つ」

 

ぼく「トーリニータ(大合唱)」

 

 ……というひとり芝居をしてプロップスを高めることくらいしかないのである。

 

*1:その点でPSGやバルセロナをなにも笑えないよな我々は…。その点レアル・マドリーやシティはそういうマネジメントが上手なのでうらやましい。