短歌 57

 

上辺は紙吹雪の重さでつぶれ並ぶポスター 春の廊下に

 

 

教科書に土星を描き同心円のいちばん最後に描かれる輪

 

 

下品 でもかわいい あるとき目をつぶるあいだに教えてもらった自由は

 

 

素の指で塗る蜂蜜は先生と過ごした午後の記憶のすべて

 

 

外からは雨好きな子らの遊ぶ声 どの芽が育つかはわからない

 

 

早く午後終われと階段駆け上がりひとりぼっちで適応放散!

 

 

厚紙が水にふやけていくように 天使に生まれることはできない

 

 

未然形うすく消えのこり教室は知らないことを教えあう場所