ずっととても刺さっているR18ウェブ小説サイト「さいはての被虐の渚にまどろむ乙女」

 

(2024.1.26追記:現状当該サイトはサーバーの廃業で休止中となっているようです。探していてこちらにたどり着いたひとはpixivの作者様の#近況報告 小説サイトをアップしていたサーバが廃業しました\(^o^)/ - 玲@さいはての小説 - pixivをチェックしてみてください。)

 

 フェチ度が高いうえにそもそもちゃんとエロ小説サイトなので、ふつうはふだんの会話で話題に出すことはできないんですが、それでもずっと好きな個人運営のページ「さいはての被虐の渚にまどろむ乙女」について話していきたいと思います。

 

・B-TACについて‥‥と、
  役員録管理にあたっての注意事項

一、B-TACでの活動は、必ず法律を遵守した行為であること。
一、B-TACでの活動にあたっては、必ずパートナーの同意を得てこれを行う事。
    同意は、明確な言葉でなされる事。身体的動作や、「うん」「はい」では不十分
    である。具体的内容に沿った同意の文言でなければいけない。
一、活動内に起きた障害・事故については当事者双方が責任を負うとする。

(「E-TAC」より)

E−TAC 目次

 SMとひと口にいってもいろいろな下位カテゴリがあるのだけど、そのなかでも縄を使った「緊縛」、とくに自分で自分を縛る「自縛」「セルフボンデージ」というジャンルをメインに描いている。

 自縛ってかなり奥が深いんですよね。自分の意志で自分を拘束するのだけど、その自分の拘束に抗ったり、耐えきれず服従してしまったりする。こういう、自由意思とか人間の自律がけっこう揺らいで、その揺らぎが刺さったりする、「コントロールする自分vs自制できない自分」みたいなところがあって、その心理がとても丁寧に描かれているのです。

 

どうしようもなく惨めなシチュに自身を追いこめたと笑うサディスティックな理性と。
なすすべもないいたぶりにわきあがるマゾヒスティックな躯と。

(「トライアル7」より)

トライアル7 その1

 自身を拘束してそこから脱出するゲームを主催する主人公と、その周りのくせのある人物とのべたついた嗜虐的で被虐的な関係性を描いた「トライアル7」*1、「SMの道具じゃないです。脱出マジックに使うんですよ。試してみますか?」というようなことを言って挑発してくる生徒に、嵌められる、……自ら嵌まっていく教師を描いた「黒く艶やかなる獣の檻」あたりが代表作と言っていいでしょう。

 

 どちらも単にエロくてやばいのだけど、それ以上に、人間の自律と服従心が揺らぐ瞬間。被虐が嗜虐に変化する瞬間・その逆が、同じ趣味を持っている人間にとっては「まじでこれ!」となるようなすごいフォーカスで描かれていて、ひとつの主張ポイントを持つ完成された作品になっている。このジャンルのものとしては、どれをとっても金字塔だと思う。

 

 ほかにも大学脱出マジックサークルに所属する男女の愛憎劇を描いた大作「E-TAC」や乙一の『GOTH』の二次創作をした森野夜受けミステリSM小説連作*2スパークうたまろさんというひとの商業マンガをノベライズした「Blind Game」*3、pixivで公開されている犯罪がまかり通りすぎ女子高拘束脱出小説「unreachable:code01」。アパートで前の住人あてに拘束具が届いたところから始まる「手違い」のシリーズ。

 そして、もう正規の手段ではなかなか見れない「散歩」の前後編や「痴漢・狩り」も、……もう記憶だいぶうろ覚えですが最高だった。

 

「じゃーん。メリークリスマス。雪華サンタだよ」
「‥‥‥‥酔ってるの?」
「まさか。酒の力を借りなきゃ行動できないほど堕落するまでには、あと数年は早い」
「サンタのくせに手ぶらなんだ」

(「少女セクト 眠れる森の魔女」より)

少女セクト 眠れる森の魔女 前編

 (あと「少女セクト」の二次創作とか、熱すぎです)

 

 基本的には女性×女性で描かれているが、反転があったり、明確な攻め手がいないことも多い。また、初期の作品には男性が出てくることが多いが、その場合でも受け手側は女性である。描かれるプレイの内容はハードからソフトまで、両極端はないけどそのあいだでけっこう幅広い。

 

 なかなかいないとは思いますが、このフェチを持ってて、まだここを知らないというひとはぜひ読んでみて下さいね。

*1:冒頭で宮部みゆき『レベル7』への言及があるのも好きです。でも「レベル7」て宮部みゆきさん好きでもそんな全員読んでる本ではなくない?

*2:とくに「D.O.A」すごいです。

*3:昔そのスパークうたまろさんのサイトで公開されていたのだが、時を経て再掲載されたときは感動した。