大学受験勉強法(数学)

 

 自発的に勉強を始めたのはこちらも高校1年の終わりのころである。「チャート式」の「青」という、練習問題がたくさん並んでいる形式の参考書があって、それを数学Iの最初から復習をする形で1問ずつ解いていった。

 

 解けなかった問題には日付と×を書き込んでおいて、1週間後くらいにもう一度解きなおしていた。すべてのページが〇になるまでこれを繰り返すと、(青チャートはほとんどすべてのパターンの受験数学の問題を網羅しているので)理論上はすべてが解けるようになる。実践的にもおおむねそのとおりで、「青チャート」の「数学IA」「数学IIB」を終えたのは高校3年生の頭ごろだったが、そのころにはそのへんのテストや問題集で出てくる問題は基本的には解けるようになっていた。

 

 ……ちなみにみなさんは「数学IA」「数学IIB」という科目をどう発音しますか? 僕の通っていた高校がある都道府県では例外的に「数学ワン・エー」「数学ツー・ビー」というふうに、先生も生徒も当然のように英語読みをしていたんだけど、これが全国標準とはまったく違う慣習だということを知るのが本当に高3の終わりごろだったのがとてもびっくりだった。

 しかも数学教師らを問い詰めたら当然のように「そうだよ。ワンツーなんて言っているのは沖縄だけだよ」とけろっと言ってて「はあ?」て思った。なにが「内地で数学ワンツーなんて言ってたら馬鹿にされるよ」だよ。もっと早く言えよ。たしかにそのあと沖縄を出て本土の人と話してぽろっと、数学ツーとか言うとたしかにちょっと笑われるんだわ。なんで詰め込み教育を受けるだけの3年間を過ごす進学校の生徒にそのうえ気づきにくい罠を仕掛けるんですか? 数学を教えるなどということを職業にしていると自然にサディストになるらしい。

 

f:id:kageboushi99m2:20220113231310j:plain

 数学はそもそも難しいし、個人的にもそんなに得意ではないので、高3の時点でひととおりすべての問題を1回はクリアした状態になっていたことが非常にありがたかった。それからは東大の二次試験を、まずはふつうに、それから時間を区切って解く練習をする。

 東大の二次試験の文系の数学では、80点中の40点くらいとるのを目指す方向性になる。問題は4問あって、それぞれ20点ずつだと思われるので、「1問完全にとって、残り3問のうち2問を半分ずつくらい」とか「2問は捨ててその代わり、残り2問はなにがあっても完全に解く」みたいな感じに、初見で問題をながめて、ぱっと方針を判断する必要があるのだけどそれがけっこう楽しかった。全部頑張れよと思うかもしれないが僕の数学能力ではぜんぜん無理でした。

 

 問題が配られて、最初の2分くらいでそれぞれの問題をながめ、「これとこれは簡単そうだけどふたつ解いたらもう時間がないな。この問題は半分くらいは行けそうだが、後半はどうなるかわからない。これはぱっと見何をすればいいのかわからないけれど、解きかたさえ思いつけばすぐだろう。はたして、どう時間を配分して攻略するか……(ニチャァ…)」みたいなことを考える時間がすごい良いんですよね。

 あの天才フットボーラー、レオ・メッシも「試合開始から最初の10分はとくにプレーはせず軽くジョギングだけして、相手の陣形やこのゲームの流れ、『今後どうなっていきそうか』を分析し、それから本気を出す」のだというから、それとおなじことをしていたのである。

 

f:id:kageboushi99m2:20220113232454j:plain

 そんなこんなで本番、とれた点数は7点(80点満点)だった。こんなできないことある? そういうこともあるんですね。実際、僕より数学の点数が低かった人には2,3人くらいしか会ったことがない。

 しかも、最終的には合格最低点より8点高いくらいの成績で合格だったので、べつに最悪数学は0点でもよかったということになる。

 

 試験問題、解く必要がなかった。

 

 今までの努力、勉強、すべてやらなくても良かったことだったのか……。

 

 悲しかった。*1

*1:悲しかっただけではなく、努力というものはすべてが無意味だと考えるようになり、大学入学後はあまり勉強をしなくなった。そうして2回も留年してしまった。