全部「○○」vs全部「△△」

 

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 「将棋放浪記」というチャンネルで、現役のプロ棋士藤森哲也さんと女流棋士鈴木環那さんが投稿しているこのシリーズの動画がとても面白かった。

 

 いや~、もう初めに出てくる画とタイトルが面白いし、絶対見たくなるじゃん! あれですね、トリビアの泉とか水曜日のダウンタウンでやるようなやつですよね。なにをするか言われたら結果が気になって、もう寝ても全然いい時間なんだけどつい先を見届けないと寝れないような気分になっちゃう。卑怯すぎです。

 しかも始まった瞬間、対局者2名が自分の割り当てられた駒を「最強です。絶対勝てると思います!」と豪語する煽りVTRが入っていてギャグセンスが高い。

 「プロ棋士がやることではないのでは?」という問いには「プロだからこそ駒の力を最大限に発揮することができる」と自信をもって答えていたのはジャンプの漫画みたいな理論で良かった。

 

 この香車vs桂馬の回は対局の内容もめちゃくちゃ面白く、秒で終わるので、ぜひ見てみてください。僕は将棋素人なのでどっちが勝つか予想できず、「さすがにこっちか? でも、意外とこっちも分があるし…、いい勝負するのかも」とか思っていたけどすごいワンサイドゲームだった。

 

 このシリーズは何個かあって、それを見ているうちに傾向がつかめてきたような気がする。

 基本的に駒を取りあって交換し合う戦いになるので、実際には「全部『○○』vs全部『△△』」というよりは「大部分『○○』+ちょっと『△△』vs大部分『△△』ちょっと『○○』」という戦いになる。桂馬は攻めには見た目の印象よりかなり強いのだけど、守りががたがたなので、桂馬を取られて玉の近くに打ちこまれるのがかなりつらい。

 

 銀vs桂馬では、銀側は守りは固いのだけど攻めは遅く、もともとある銀を敵陣まで進めて攻めるのはなかなか難しい。なので、銀壁で守りつつ、取った桂馬と「相手に取らせて、さらにそれを取った(もとは自分の)銀」を敵陣に打ち込むことで勝っていく必要が(たぶん)ある。

 逆に桂馬側は不用意に銀を打って取られると不利になるので、銀を自陣に打って適時守りを固めつつ、相手のじりじり迫ってくる銀壁をどれだけ駒得して防ぎきれるかがカギになってくるのではないだろうか。慎重に戦って長期戦になったバージョンもぜひ見てみたいと思った。

 

 あと、藤森棋士の、決して滑舌がいいとは言えない実況も慣れてくるとこれしかないって感じのリズムでとてもいいですね。VTRなども含めて、小ネタもしっかり仕込んであってとても面白い。ひとを楽しませたいという気持ちが感じられるエンターテイメントを見るのは、視聴者にとってはいつだって幸せなことですね。