EURO2020も準決勝、決勝の3試合を残すだけとなった。準決勝の1試合目を戦うのが、イタリアとスペイン。もうひとつのカードがイングランドとデンマークである。それぞれ以下のような物語を経て、ラウンド4の舞台に立っている。
イタリア
選良。試合の主導権を握れるし、トーナメントで負けないリスク回避の戦い方もできるし、そのうえで前線には点を取りきる力がある(し、1~2枚選手を変えても決定力を維持できる)。さまざまなチームが目指し、けどそこまで仕上げることができなかった完成の形をしているチームなのではないか。
スペイン
底深いレームダック。試合やメンツを見ると、微妙のひと言なのだが、大会を通じていろんなチームが「いまのスペインなら殺れるのではないか!」と挑み、結局倒しきることができなかった。そういう底の深さは、鮮やかでも胸のすくものでもないが、それでも強さだ。モラタももうそのままでいいと思う。君は十分強い。
才能とインテンシティ。世界的にも屈指のタレント集団なのだが、それを活かして華麗なサッカー、ではなく、地道で泥臭い頑張りによって勝ち上がってきた。一度不利になったゲームをひっくり返す力はなさそうだけど、それを補って余りある寝かせたゲームを寝かせ続ける能力がある。
主人公。グループステージ1戦目で起きたアクシデントをきっかけに、世界中から応援されるチームとなった。1992年にも、文脈を持って大会に参加した過去を持つチームであり、そのときも優勝している。それ以外にも、もちろんほか3国と比べたら見劣りするものの、やっているサッカーの質が際立って低いわけではない。
一番充実していて強いチームはいぜんイタリアだとは思うけど、スピナッツォーラの負傷が、とくにイングランドやデンマークを相手にすると考えたときにかなり痛い。ケインが点取るモードに入っているし、イングランド優勝もぜんぜん現実味がある。スペインもあると思うけど、あまり面白くないので…、「いい敵役」どまりであってほしい。そして断然美しいのはデンマークの優勝だ。
ラウンド16、ラウンド8で個人的に見た試合は以下のとおり。
イタリアvsオーストリア
オランダvsチェコ
クロアチアvsスペイン
スウェーデンvsウクライナ
スイスvsスペイン
ベルギーvsイタリア
チェコvsデンマーク
ウクライナvsイングランド
見れて良かったなと思ったのはウクライナの2試合。素晴らしいチームだったし、その上での限界に阻まれてイングランドに負けた試合は無慈悲で切なかった。デンマークとイタリア、ウクライナの仇を討ってくれまじで。……スペインになった場合は、どっちもどっちなのでどっちでもいいです。