国際大会はそれぞれのチームで、個々の選手がどんな選手なのか、チームとしてどんな動きをするのかを知らない試合が多く、見る楽しみの大部分を「選手」を点として追いかけること、になりがちだ。
そんな追いかけてきた点をたどりなおして、今回のEUROで好きだった選手、印象に残った選手をポジションごとにひとりずつ挙げていきたい。
GK ヴァツリーク(チェコ)
メーレンとの1vs1の場面、……格上相手に善戦するチームが一瞬の隙から決壊するパターンだ! と直感的に思ったので、それを止めたオランダ戦の渾身の二重セーブ、あそこは見ていて心がふるえた。スポーツ観戦の喜びだ。
今大会のイタリアについての雑談を、サッカー好きだけどEURO見ているほどではないよって人と話してて一番起きる流れが「え!? イタリアのセンターバックってまだボヌッチとキエッリーニなの!?」である。実際に活躍を見ると「そうだろ」としか思いようがない。
キエッリーニはスペイン戦のPK前、ボヌッチはそのPKを決めるところと、どちらかと言うと番外での活躍が印象に残ったが、たぶん試合中も活躍していたはず。
CB フンメルス(ドイツ)
3バックを使っていたチームからはこちら。世代交代を進めていたチームに、やっぱりあなたがいないとだめだ!」と戻ってくるベテラン、というのは個人的には色眼鏡で見てしまう。
決して本人としても良いパフォーマンスではなく*1、チームも低調で、オウンゴールまでしてしまったけれど、その試合で完全にムバッペに抜かれたところから気合のタックルで決定機を阻止したシーンには気迫を感じて大会を通じてもとても印象に残ったディフェンスだった。
左SB スピナッツォーラ(イタリア)
名前が特徴的で、名前が特徴的なサッカー選手大好き勢としては存在は知っていた選手だったのだけど、大会初戦で見てすごすぎてなんかうれしかった。ビルドアップの出口になるボールの受けかたをしつつ、そのあと攻撃の起点になれる。言ってみればそれだけの単純なプレイヤーなのだけど、そのふたつを兼ね備えることのどれだけ素晴らしいことか。
準々決勝で大怪我をしてしまったときには、この選手を決勝で見られないのはサッカー史の損失だと思った。レギュラーシーズンでの活躍と怪我がないことを祈っています。
ふつうならこういうセレクションは、サッカーの同時にピッチに立てる人数である11名を選び、ベストイレブン!と称するのが習わしなのですけど、今大会でこれをやっちゃうと、ルーク・ショーかスピナッツォーラの2択が発生しちゃうので嫌だったのです。*2
ルーク・ショーはすばらしいパフォーマンスだった。ウィングバックで起用されたのは決勝戦だけだったけど、それだけでもこの枠に選ばれてしかるべき選手なのではないでしょうか。*3
攻撃はあの難しい先制点を取ったのだし、守備に回ってもキエーザを1vs1でふつうに止めていてかっこよかった。衝撃。