いま夏のはじまりの

 

いま夏のはじまりの
すこし汗をかく夕方に帰宅
体を温めすぎるのはいやだし
かといって冷たすぎる水はあまりだ

そんなことを考えていたら
浴室にはお前が残していった
ちょうどいい温度があって
シャワーを浴びるのは幸せだ

時がじっくりと進んでいく
幸せの時間から
人々を振り落としながら

目を覚ませば
匂いのついた朝に抱かれ

昼時には
太陽の下で雲が場所を空ける
(俺は日なたのほうが好きだ)

夜になれば
1.5人分の生活が変わらずに続いている
(ちょっとどいててな
酒燗器は俺が使うから)

また朝が来て
息を止めて時間をこらえる
(どこに行った? と聞くことはしないよ
お前はいつも朝が早いから)

たまに現れる生活の
幽霊と交わす会話俺は
ちっともうんざりじゃないよこれからも

俺はお前の
間を縫うようにして生きる