貯水池まで歩こうか

 

 

I heard you made the hull of a boat downtown
I heard you got a job at the builders yard
But we should never say that we drifted far
Yeah we should never say that we drifted far

お前のうわさは聞いてるよ
街であの船を作ってるのはお前なんだって?
資材置き場に働き口を見つけたんだって?
けど、みんな見ないふりしてるんだ
みんなずっとふらふらしてたってことに
そう、みんなずっとふらふらしてた

 

And I could never take good care of you
Because we had so much to lose
But we should never say that we drifted far
Yeah we should take a trip to the reservoir
Yeah we should take a trip to the reservoir

もっといろいろ気づいてやれたら良かったな
無くなってくものが多すぎるのが悪いんだ
ふらふらしてたって認めたくなかった
貯水池まで歩こうぜ
貯水池まで歩こうぜ

 

Heartbeats drifting together
Heartbeats aaaaah
Walk in the wood
Wet under foot
Up to no good
Ah-ah-ah-ah

お前と一緒にふらふら歩く
となりで心臓の音が聞こえる
森を歩いていく
足元が湿ってる
ああ
悪いことを企んでいる俺さ

I heard you cast off and she sailed real fine
I heard you met her bow with a bottle of wine
Well you should let me know when you're home and dry
Well you should let me know when you're home and dry

お前が綱をほどいて、船が「本当に」出港して
お前はワインを抱えて、船首に立ってたって聞いたぜ
航海から帰ったら知らせてくれよ
航海から帰ったら知らせてくれよ
そうじゃなきゃ嫌だぜ

 

I heard you took an old school friend with you
The one you always said you would
Well we can never say that we drifted far

昔の同級生を連れてったって聞いたぜ
昔からそいつと行きたいって言ってたよな
ああ、俺らはずっとふらふらしてきたって
ぜったいに言えるわけない

 

Yeah we should take a trip to the reservoir
Yeah we should take a trip to the reservoir

貯水池まで歩こうぜ
貯水池まで歩こうぜ

 

Heartbeats drifting together
Heartbeats aaaaah
Walk in the wood
Wet under foot
Up to no good
Ah-ah-ah-ah

お前と一緒にふらふら歩く
となりで心臓の音が聞こえる
森を歩いていく
足元が湿ってる
ああ
悪いことを企んでいる俺さ

 


 俺にはずっと昔からの親友がいて、そいつにもたくさんの友達がいるはずだけど、学校に行くよりまえから一緒だったのは俺だけだと思う。俺は親友とずっとふらふらして過ごしてきた。夜は飲み呆けて、朝はダウンタウンを散歩し、昼になったら狭いソファの上を分けあって眠った。言葉では言い表せないような忘れられない一日を、二人でなんども過ごした。

 

 夜訪ねて行っても、そいつが家にいないようになったのは最近のことだ。噂では、街で船大工の見習いになったらしい。冷やかしに行こうか、……そんなアイディアが思い浮かんだけど、やめた。むしろ白けてしまった。あてになるものなんかない。俺らはこの社会では、ずっと漂流するだけの板切れだ。そうじゃなかったのか? お前もそうだって言ってただろ? 相棒。

 

 「貯水池まで歩こうぜ」と声をかけた。仕事終わりの親友は、すこし疲れた表情をしていたけれど。貯水池まで歩いたら、きっと楽しいだろうって同じように思ってくれてるみたいだ。そういえばお前と何度も歩いたよな。この森の中を、……行き止まりにある小さな貯水池まで。あるときは寒さで震えながら、あるときは社会を罵りながら、あるときは悪い企みごとを、二人で考えながら。

 

 出港の日、船から手を振るお前を見たっていうやつから聞いたぜ。いつになるのかわからないが、帰ってきたら俺に真っ先に知らせてくれよ。そうする義務が、お前にはきっとあると思う。帰ってきたら、またあのときの貯水池に行こう。あのときのことをおぼえているだろ? またふたりで歩こうぜ。言葉では言い表せないような、忘れられない一日だったじゃないか。

 


 ……というような感じのバックストーリーがあるのではないかと思っている。貯水池(Reservoir)って響きも素敵だし、異国風*1でいい雰囲気のある言葉だと思うけど、海と対比して、限られた狭い吹き溜まりの場所ってイメージを持たせつつも、そこにフォークな情感をつけていて、いい使い方がされている歌だなと思いました。

 

*1:フランス語っぽいスペルをしている。