EURO2020のグループステージ、グループEの初戦となるスペインとスウェーデンの試合を見ていた。
スウェーデンはミドルゾーンに4-4-2のブロックを構えてスペインの攻撃を待ち受ける。スウェーデンのFW2名は中央に構えてパスコースを遮断することに専念して、相手CBのボール回しは好きにさせる。一方、スウェーデンのMFラインは、相手インサイドハーフの①裏を取る動き、②逆に相手CB脇のスペースに下がってパスをもらう動きには食いついて牽制する。
……この構図はちょっとどうかと思った。守備側が食いついて牽制するということはスペースをあけるということで、さすがにスペインはポジションをローテーションしてのブロック攻略が上手く、インサイドハーフのペドリやコケが動いて作ったスペースを皮切りにすこしずつブロックをずらして、クロスや突破からシュートにいくシーンを何度か作っていた。
スペインの攻撃はだいたいプレーが切れて終わる(=いい形でスウェーデンがカウンターできない)し、たまにいい形でスウェーデンが奪ってもスペインのカウンタープレスにはめられていた。
まあ、こういうのは国旗に十字架が入っているヨーロッパの国の代表チームが格上の強豪国と大きな国際大会で当たるたびに100万回繰り返されている構図なのでとくに驚きはしなかったが、客観的に考えると、応援しているひとたちや観戦客はこれをみてこれのなにを楽しむのだろうか。
試合前はこんな感じで最高に湧き上がっていたサポーターたちも、試合の途中でカメラに抜かれたときはあいまいに笑いながら静かに座っていた。
しかし、そういう試合にも文脈が乗り、それが乗ることによってプレーにきらめきが加わり、加わったきらめきでさらなる文脈が足されてドラマになっていくのが大きな国際大会の面白さですよね。
スウェーデンは異次元のキープ力と突破力、そしてラストパスのアイディアを発揮したFWイサク選手の頑張りをきっかけに2回の決定機を作った*1。おたがいのDFとGKにはビッグプレーがあり、ときおり写る選手たちの表情には、エンタメを見ているという気分でしかない僕にはわかりようもない強い感情が表れていた。
個人的には、ポジションチェンジから突破口を作っていた前半の戦い方のほうがスペインにはチャンスがあったのじゃないかと思う。スウェーデンはラインを簡単には下げなかったので、いちどいい形でブロックに侵入したあとはスウェーデンの選手に戻りながらの守備をさせていたので、点が入りそうな気配があった。
後半はサイドを使ってスウェーデンを押し込んだけれど、最後のひと押しという点においては押し込まれたほうがスウェーデンは守りやすかったのではないか。
個人的に良かったのはスウェーデンのGKオルセン選手。運もあったと思うが、とくに前半の守備がはまっていない時間帯をしのぎ、難しいゲームをビッグセーブで形にした。途中にあったパントキックのミスを拾われ、なんとかボールを回収したものの、そのあとのパントは大きくタッチに蹴りだしてしまったシーンは人間味を感じた。いままでサッカーを観ていてパントキックが怖いなんて感じることはなかったけど、たしかに、あのパントは怖いと切実に感じた。