ドラクエのサブタイトルかっこいい順ランキング

 

 先日、ドラゴンクエストシリーズが35周年を迎え、シリーズ最新作「ドラゴンクエストXII 選ばれし運命の炎」の制作が発表された。

 

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 最初に思ったのは、「え、サブタイトルださくない!?」だった。「選ばれし」の「し」が断トツできつくて、その次に「選ばれし」「運命」「炎」と抽象的で陳腐な語が並ぶさまがださい。8文字が厳しさで埋め尽くされていて、ちょっと見じゃ許せるポイントが見当たらない。

 「やばいな次のドラクエ……」と思いながら発表の余韻に浸っていたのだけど、余韻のなかでふと思った。そういえば、よく考えると、それまでのドラクエのサブタイトルってそこまで良いものあったか?

 

 もし、これまでのドラクエのサブタイトルがどれも「いまいち寄り」~「最悪」くらいにあるのであれば、最新作に対してそれほど悲観せずに済む。

 というわけで今回は、これまでのドラクエのサブタイトルをかっこいい順に並べてみたい。11位から発表です。

 

11位:ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族

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 ドラクエ10はゲームスタート時に5つの種族から自分のキャラを選んでプレイするMMORPGであり、ドラクエ10のサブタイトルはサブタイトルというよりは説明文みたいになっている。

 ただ、ドラクエ10は追加コンテンツのアップデートに合わせて、そのストーリー内容に応じたサブタイトルがつく仕組みになっているので、バニラ版のサブタイトルはちょっと簡素というか、基本的なものになってしまうのもしかたがない。

 

 同列に比較するのはかわいそうだが、11位である。

 

10位:ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて

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 『失われし時を求めて』を小耳にはさんだことのあるひとの頭におぼろげに浮かんできた言葉……? 先行する作品を意識しているのかしていないのかよくわからないつきかたはちょっと見ていて困る。

 フレーズはゲームの内容とはきれいに合っているが、ここまでメインシナリオの芯にぴったり合わせてくるとちょっとかっこいい気はしない。あと安易に「し」を使うのも良くないし、「て」で言いさすのも良くない。

 

9位:ドラゴンクエストIV 導かれし者たち

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 これも10位と同じで、ストーリーと合いすぎていてサブタイトルのフレーズと組み合わさったときのハーモニーがないというのと、「し」を使っているところが良くない。ただ、これに関しては「導かれた者たち」とすることはできないのでちょっと酌量の余地があるかもしれない。

 

8位:ドラゴンクエストVI 幻の大地

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 「幻の大地」という言葉自体は期待感が持てる、ワンダーにあふれた雰囲気をまとっている。だけど、実際プレイしてみると、ゲームのコンセプトを説明しているという以上の含みがなくやや退屈に見えてくる。夢の世界を「幻の大地」と表現するのは、幻と夢が近すぎてまったく効果的ではない。

 ただ、無駄な装飾がないので、そんなに悪印象があるわけでもない。良くも悪くも素なタイトルである。

 

7位:ドラゴンクエストIII そして伝説へ…

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 この辺からは「べつに悪くはない」グループに入ってくる。「そして伝説へ…」という、なにについて語っているかを秘密にする修辞、言いさしの修辞はべつに目新しいものではないが、ゲームをクリアしたあとに意味がわかる仕掛けが完璧に決まっているので、言葉のうえではこれで十分である。

 

6位:ドラゴンクエストII 悪霊の神々

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 ドラクエ全シリーズを通じてこのサブタイトルだけ、なにを指してそう言っているのかよくわからない。ただ、「悪霊」と「神々」という近そうで近くない、ていうか並べられてみたら、これまで隣り合ったことがないんじゃないかと見えるくらい新奇な印象を与える言葉をチョイスした時点で一定の水準はあると思う。

 

5位:ドラゴンクエストIX 星空の守り人

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 これと上のドラクエ2だけどちらを上位にするか迷った。たしかに、言葉面だけ見ると、「星空の守り人」というのは意外性を与えない、退屈な語の並びなのだけど、「天使」をあらわす言葉として見ると意外と遠すぎもせず近すぎもせず、捻りすぎもせずストレートすぎでもない、指示対象との距離感がいい言葉である。

 また、ゲーム内で主に守られている「世界樹と女神の果実」と、「星空」という言葉の相性もいい。シンプルながら、出されてみるとこれしかないなとなる収まりのいいサブタイトルである。

 

4位:ドラゴンクエスト

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 正直、サブタイトルをつけてサブタイトルをつけないよりかっこよくなるのは難しい。これまでのサブタイトルがついている組は、時間の経過とともにこれ以上良くなっていくことはむりなのだけど、初代のタイトルなしは時を経るごとにタイトルがないことの「重み」と「力強さ」が増していく一方である。

3位:ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち

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 「エデン」という、背負っている物語が特殊で大きくて、非常に使いづらいワードを完璧に当てはめていてすごいサブタイトルだと思う。これで作中に一切「エデン」という言葉が出てこない、出てこないのに、エデンという言葉が使われた意味、その指し示す対象がわかる、わかるのにそれで興ざめにならず、よく言い表したなとなるのがすごい。
 「過ぎ去りし時を求めて」という弱いサブタイトルを生み出した製作力なら、「砕けし時のかけらを求めて」とかで販売してしまいそうなものだが、……ちゃんと「エデンの戦士たち」にしたのはほんとうに偉い。

 

2位:ドラゴンクエストVIII 空と海と大地と呪われし姫君

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 このサブタイトルを考えたひと、天才ですよね……。

 「空と海と大地と」なんて大仰に引っ張って、どう落とすんだというところで尺をたくさん使って「呪われし姫君」フィニッシュ。前半も後半も単体では陳腐もいいところなモチーフなのに、並べることでどちらにもただならない空気、なにかありそうな空気がまとうようになっている。そのうえでリズムが非常に良く、声に出して読みたい言葉になっている。

 それでいて、現実的な話、前半部分が表わしているのがPS2になって一新されたグラフィック、後半部分が物語の目的となる呪いで馬にされたお姫様で、……ほんとうに作品にとって基本的なことを取り上げて言い表しているだけなのだからすごい。

 

 基本的なコンセプトをユーザーに提示しつつ、言葉の並べ方とリズムという最小限の工夫で最大限のかっこよさを実現している。ドラクエ史に残る傑作サブタイトルでしょう。

 

1位:ドラゴンクエストV 天空の花嫁

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 ゲームをプレイしてみたら、「なるほど、こういう意味だったのか」とわかるし、「結婚」というゲームの目玉システムをプレイヤーに紹介もしている。

 プレイし終わった人に対しても、まだしてない人に対しても役割を果たすタイトルであり、その時点で十分良いサブタイトルなのだけど、そのうえで、天空という言葉と花嫁という言葉で、人生の先がとてつもなく開けて見える、高揚するいちイベントの光景を想起させるポエジーがあるのが素晴らしい。そしてそのポエジーは、実際にゲーム内で主人公がたどる数奇な人生と重なることでさらなる深い色合いを帯びる。

 

 そんな多めの要素を、「天空の花嫁」という5文字に凝縮しているのもスタイリッシュだ。かっこいいし、かわいいし、せつないし、わくわくするし、深く知りたくなるし、高揚する。さまざまな感情をサブタイトルを見ただけでいまも思い出させてくれる。

 

 個人的なかっこいいドラクエサブタイトルランキング、異論なしの1位です。