札幌は完勝した前節を踏襲したMF9人システム。怪我をしちゃった中野選手のかわりに真ん中に荒野選手を起用して、荒野選手の位置には宮澤選手、宮澤選手の位置には怪我から帰ってきた田中選手を置く。このシステムだとどっちかというとこの並びのほうがミシャ監督のベストメンバーなのかもしれない。
守備はマンマーク。とくに神戸の中央にいるセルジ・サンペール選手を経由した展開をさせないように荒野がパスコースを遮る形で立っている。相手最終ラインにアタックを書けるのは、相手のCB+GKのあいだで、受け手が優位性を失うようなパスが出たタイミング。荒野+チャナティップ+駒井の前三名は走って追い回せる選手なので、こういうプレーには強い。
札幌はかなりプラン通りのサッカーをできていたけれど、神戸もそれに対して「札幌が守備のスイッチを入れて、札幌最後尾でドウグラスがカバーなし1vs1の局面となったタイミングで、ドウグラスに入れて質勝負」「札幌がなかなか来なければ、ピッチ全体でボールを回して札幌のマーク関係を曖昧にしてから、ずれたスペースを使って攻撃」という2パターンの、神戸にとっては得意とする形の応手を用意していた。
最終的には負けてしまったのだけど、まあこういう形で負けるのならもうそれは負けなので仕方がない。なにかがめちゃくちゃになったうえでの負け、とかではないですからね。
サッカーは医学と同様に進歩していく。イメージしてほしいのは1974年のアヤックス。全員の選手がどこのポジションをやっても、問題なくプレーできる。それが私の理想であり、哲学である。これが次のトレンドになると思っているし、それを狙っている。私のパスサッカーはモビリティーのある選手が多くいるほど生きると思う。今季はそういった戦い方が増えていくと思います。今日の選手たちが見せたサッカーはメディアの方にも宿題を出したつもりです。サッカーの見方というものも変わるかもしれません。
ミシャ監督は前節の試合後、こういうコメントを残している。動けてポリバレントな中盤の選手を多く擁している今期の札幌にとっては、目指すスタイルとして合理的ではある。なにより見ていて楽しいので、まあ勝ったり負けたりはするんだろうけれど、もうすこし、このシステムを見てみたいなと素朴に思いました。
今日をもちまして、このブログ「タイドプールにとり残されて」は最終回となります。いままでみなさん、ありがとうございました。