はじめてパチンコをやった

 

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 僕の勤めている会社にはパチンコ好きのひとが多く、入社からずっと、「君はパチンコやらないの?」と聞かれ続けていた。「いや~、やったことないっすね~」と返事をすると、「そうか。いや、あんなのは絶対やらないほうがいいよ。お金なくなるだけだから」と言われるので、そこまで卑下されてしまうと僕もちょっと言葉の上での埋め合わせのようなものをしてしまいたくなり、「いや~、楽しそうではありますよね~」みたいな心にもないことを言っていた。

 

 しかし、はじめのころは「そうか。いや、あんなのは絶対やらないほうがいいよ。お金なくなるだけだから」だったのが、入社からちょっと経つと「でも、一度はやってみるのもいいと思うよ」「最初は1円パチンコからはじめるのがいいと思う」になり、しばらくして雑談にもくだけた感じが出てくるようになると「絶対やったほうがいいよ」になり、その後も「1円もいいけど、パチンコの真の楽しみを知るには絶対4円がいい」→「こんどいっしょにパチンコ行こう」→「今夜いっしょパチンコ行こう」とエスカレートしていった。

 べつに嫌ではないのだけれど、僕はかなりためらっていた。どうやら、話によると、パチンコをちゃんとやるには3万くらいの資金があったほうが良いらしく、運が悪いと3万あっても1度も当たらずに全部なくなってしまうこともしばしばだという。

 

 僕は無職時代が長かったこともあり、それだけの大金(3万円あれば1か月は食べ物を食べることができる)を1度に費やしてしまうことに本能的な怯えを感じていた。結局上司や先輩と行くことになった今回も、ATMから1万円を下ろしたときも指が震えるほどだった。1万円あれば10日は食べ物を食べることができるというのに。

 

 とりあえず打ってみる。チャッカーは回るし、リーチ演出らしきものもけっこう来るんだけど、それだけ。リーチのたびになんか女の子キャラが敵と戦って、敵に勝てば当たりとなるらしい雰囲気はあるのだけど、女の子たちはかっこいいことを言うわりにぜんぜん勝ってくれない。出てくるキャラ全員のことが嫌いになってしまった。パチンコから興味を持ってアニメを見る層もいる、というのはうそなのではないかと思う。

 

 結局、1万円を入れても、とくになにも起こらなかった。まあそんなものだよな。失う覚悟を決めておいてよかった。意外と喪失感はないものだ。そう思って台を立とうとしたら、隣に座っていた先輩が僕に1万円を手渡した。「俺はプロだ、昨日は7万勝ってる。信じてこれを使え」

 

 ギュインギュインギュイーン!! ピカピカピカピカピカ!!! ガシャーン(「シンフォギア」と書かれたタイトルロゴが落ちてくる音) ドドドドドドドド(震動音) ガシャーン(画面下から光るなにかがせりあがってくる音) ブーブーブー(ブザー音) ジャラジャラジャラジャラ(ありえないぐらい玉が出る音) ギュインギュインギュイーン!!(大当たりが当分の間続き続けることを知らせる音)

 

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 これからパチンコ屋は、毎日行こうと思いました。