推し(μ's)にカバーしてほしい推し(ポルノグラフィティ)の曲を考える 3

 

高坂穂乃果 

 

 なんだかんだといって、やっぱり高坂穂乃果さんは主人公でμ'sのリーダーなので、ポジティブで前向きで「まっすぐ君に伝えたいこの未来志向のメッセージ!」みたいな曲だとぜんぶ似合ってしまう、というところがある。

 それだとすこし、なんでもいいところが出てしまうので、今回はもうすこし目標とする絞りを高めにして、「どうせポルノグラフィティラブライブ!同時に好きなひと正直そんないないからてきとうに選んで大丈夫だろ」という妥協はやめつつカバー曲を考えてみたい。

 

1曲目 ポストマン

 ただ楽観的、ポジティブ、というだけではなく、穂乃果さんの言動にはちょっとした誇大妄想的なトーンがあると個人的には思っていて、見ていてちょっと不安になる。愛の手紙を運んで世界中を駆け回る郵便配達屋さんのおとぎ話を、含羞も遠慮もなく歌いきってしまうようなこういう曲のほうが合うのではないかと思いました。

 個人的にはいちばん、「届けてやらねえぞ」のところをどういうふうに歌ってくれるのか気になってどきどきする。ちょっと語りに崩す感じで歌うのもいいけれど、あえてここはスルーして、にこっと笑ってメロディーのままでもうれしい。

 

2曲目 ワン・ウーマン・ショー 〜甘い幻〜

 地獄のようなタイトルだが、これでも立派なシングル曲なんですね。僕はもう慣れたのでまあこういうのもいいと思いますし、なんならちょっと好きな曲ですが、2004年ごろにファンだった人にとっては愕然とするような曲なのではないか。変わり果てています。

 「ワン・ウーマン」なんだから、やっぱり、ひとりででもステージに立てるオーラがあるという点において、この曲をカバーするとしたら穂乃果さんか矢澤にこなんじゃないかな、と思うのだけど、矢澤さんだとちょっと歌詞の内容とキャラクターが近くて、でもたぶんこの曲はキャラに合ってないひとが歌うほうが渋みが生まれてよいと思う。

 「甘い、幻」のところのダサい語りは、そのままダサかっこよく決めてほしいものである。

 

3曲目 ビタースイート

 高坂さんという人物を語るうえで外せないのが、やっぱり1期終盤のエピソード。基本的にワンマンプレイが得意で、責任感があって、同時に他人の気持ちを分かってあげられるすごい子なんだけど、……自分が他人を思っているように他人も自分を大切にしてくれているということをすこしわかっていないところ、ほんとうはひととひととのかかわりあいのなかで起きている出来事なのにすべてを自分マターだと思ってしまって抱え込むところに、ちょっとした人間的なウィークポイントがあるのがわかる。

 「ビタースイート」の打ちのめされ感と、それをとことんまで自責する感じ、最後に手を放してしまうせつなさ。作中でひょっとしたらこうなってしまうかもしれなかった、高坂穂乃果さんの裏テーマソングとしてみたい。