1曲目 Ouch!!
ポルノグラフィティの曲を聞くようになってけっこう長くなるが、いまだにこの「Ouch!!」を好きだというひとは申しわけないが見たことない。人間には多様性があるのでひとりもいないということはないと思うが、いるとしても日本全国で合計30人くらいじゃないだろうか。
変化に乏しい退屈な展開、女はどうだ男はこうだとかいう内容をこてこての役割語で歌われるのは、当時ならともかく、このご時世2020年代にもなるときついものがある。
「ネオメロドラマティックまでのロード時間」「THUMPχの0曲目」「アルバムをセットしたあとお手洗いに行きたくなっても安心」といった散々な言われかたをしているのを見たことがあるが、まあしょうがないと思う。
しかし、南ことりさんが歌ってくれたら、この曲にも光が当たるのではないだろうか。こてこてのぞわっとするような歌を歌いこなすことにかけては、μ'sのなかでも彼女の右に並ぶ人はいない。むしろ原曲の痛々しさをプラスに変えてしまうような、そんなタフな名演が期待できるのではないでしょうか。……よろしくお願いします!
2曲目 蝙蝠
これを考えるにあたって南さんのSolo Live! Collectionを聴き返してみたのですけれど、このひと歌いかたがバグってるのでなんの参考にもならなかった。じっさいにカバーしてみてどうなるのかはまったく分からないのですが、僕の趣味を押し付けるなら、ポルノグラフィティカップリング曲でも屈指の人気を誇る「蝙蝠」をぜひ南さんに歌ってみてほしい。
情の深さとあきらめ、清らかさと黒さが、裁定なく、フラットに乗せられているような曲で、これを南さんが歌っていたらうれしい。
3曲目 ニセ彼女
おしゃべりで ノーテンキで
そのクセすぐスネたりするけど
甘い物をあげちゃえば
幸せそうな微笑みになってく
これは僕の南ことり観であってあまり一般的ではないのかもしれませんが、彼女は友達のなかでちょけてるときがいちばん楽しそうに見えるんですよね。ひょっとこのお面をかぶっていたところとか。1期終盤の展開のために、すこし重めのところがクローズアップされるけれど、こういう、半分おふざけみたいな曲が、きっと南さんの本領なはず。
この「ニセ彼女」はポルノファンのなかでもほとんど話題にならない曲なのだけど、改めて聞くとけっこう面白い。つぎの(こちらは有名曲)「ビタースイート」につながるような重めの音作りなのに、歌詞で描かれているのは、恋人どうしのしょうもないひと幕を変な角度からどこまで真剣なのかわからない深刻さで切り取った謎の情景。ハッピーとも、なにか含むものがあるともつかない終わりかたをして、べつに気になりはしない程度のミステリーが残る。
μ'sでいちばん、秘密とおふざけが似合う南ことりさんにぜひこの曲を解釈して歌ってほしいですね。
つぎは高坂穂乃果編でお会いしましょう。