毎月28日に、前月の28日から本月の27日までに僕が見た(投稿された、ではない)YouTube動画のうち、おもしろかったものやためになったもの、感動したものを取り上げ、大賞を決めて表彰する、というのが、この恒例となっている「YouTube大賞」のコーナーである。今回もさっそく、ノミネート動画をふりかえっていきたい。
【限界しりとりパーティー】語彙力王は誰だ! 文字数制限ありのしりとりバトル! - オモコロチャンネル
クイズノックが考案し、しりとりに競技性を持たせたゲーム「限界しりとり」をオモコロチャンネルの4人が解説しながらプレーする動画である。
こういう、ボードゲームやってみた、的な動画は基本的にはだれがなにをやっても面白くも面白くなくもないふつうに流して見れる感じの動画になるのだが、
この回は「ダ・ヴィンチ・恐山が『し』でちょっと重めの文字数が来たところで『少女終末旅行』と答えた」ところが面白くてなんどもそこだけ繰り返してみてしまった。この雰囲気の人間が「少女終末旅行」を好きじゃないわけないところと、あと文脈のないところで言うにはちょっと照れのあるワード「少女終末旅行」をふつうの感じで言って、でもそのふつうにしている感じが共感性羞恥を誘って、滋味深い。
あと、何回数えても文字数があってない気がするのだけどこれでいいのだろうか。
【神回】M-1 2020王者マヂカルラブリー野田さんとティモンディ高岸さんとトークしたら面白すぎた - カジサック
フジテレビのトーク番組「ボクらの時代」をパロディ、アクの強いボケ芸人2名をゲストに迎えてボケが渋滞する様子を楽しむ「ボケらの渋滞」の第2回である。
野田クリスタルが白銀のヌルっとしたマスクをかぶって登場、「野田って誰ですか? 僕は未来から来たYouTuber、ミラサックですが…」と言い、「野田クリスタルとティモンディ高岸とカジサックの3名がトークする」という企画の大前提を覆すボケをしたときから最後まで笑いがおさまらず大変だった。
印象的だったのはこの場面。「生まれ変わったら何になりたい?」というカジサックの話題振りに、「高岸になりたい」と語る高岸。「それくらい責任をもって自分の人生を全うしている」と続けたが、これは哲学者ニーチェとおなじ考えかたであり、正直かなりかっこよくて感動した。
千秋、ポケビ「POWER」を20年ぶりにフルで歌ってみた - 千秋の歌YouTube
編集もテロップもカメラ目線もない、最後にちょっとしたお手紙があるだけのシンプルな動画だが、だからこそそのリアリティが胸を打つ。ただでさえ、「POWER」はみんなの心に刻まれている曲で、千秋はひとの心を動かすドラマティックな歌手なのに。
入りのサビを、20年前からなにも変わっていないように思える熱量で歌いきったあと、声を切るときに、安心したような、やってやったぜ、というような笑みをこぼしたのが鮮烈だった。
それでは、上記3作品から、審査を行ってまいりましょう。
12月の大賞は、……「千秋、ポケビ「POWER」を20年ぶりにフルで歌ってみた」に決定しました。特別賞はこちら。
次は2021年1月28日にお会いしましょう。よいお年を。