この5ゴールを見てくれ

 

 7月20日土曜日、明治安田生命J1リーグ第20節、5-2で湘南ベルマーレに勝利。5-2。美しい数字だ。2はどうでもいい。5点。5! 本当に美しい。

 

 1点目がこちら。映像には映っていないが、荒野の「外にパスを出すよ?と体の向きでフェイクを入れつつ、敵の守備の意識の逆をついて縦にパスを入れる」というダビド・シルバのようなプレーが起点になっていて、そこから最終的にはゴールを決める進藤がフリーでクロスを入れる。このクロスはチャンスにはならなかったが、そのこぼれ球をギリギリで宮澤が収め(ここで奪われていたら、札幌は後ろの枚数が足りてないのでかなりピンチだった)、そこからDF福森のクロスにDFの進藤が合わせてゴールイン。

 スペースを察知してそこに早いボールを送った福森の判断もすごいけれど、そのスペースを見つけて使い、しかも後ろからのボールをしっかり首を振ってゴールに流し込んだのがすごすぎる。進藤のこれはDFとしては規格外のプレーで、おそらく昔FWの専門学校に通っていたのではないかと思われる。

 

 2点目はこちら。白井は昨年加入した選手だけど、正直、昨年は戦力になり切れているとは言えなかった(FC東京戦で目覚ましいゴールを決めたりもしたけど)。のがここに来て大ブレイクしていて、今日も出場していた全時間帯で対面の日本代表選手、杉岡に圧勝していた。その白井の、動きのスピードチェンジを使った縦突破から、ふわっとしたボールをジェイへ。ああいうボールをジェイに送ることができれば、相手のDFにできることはなにひとつない。

 

 このあいだに凡ミスから失点しているが、どうでもいい。何点取られようがそれ以上取れば勝ちだし、楽しい。もちろん接触を恐れずボールに触ったジェイは素晴らしいんだけど、ボールを送った福森がさらに素晴らしい。相手の一列目が福森につききれず、対応しようとしたWBは4番の菅が釣り、相手のボランチはドリブル突破を恐れてステイしたので(もし湘南の守備に改善点があるとしたらここかもしれない。福森はドリブルで相手を躱すタイプの選手ではなく、彼の守備対象であるチャナティップも近くにはいなかったので、山崎が対応できていないのを確認した時点で前進して福森にプレッシャーをかけるという選択肢はあったと思われる)、そのままフリーで高精度のボールを送ることができた。

 

 4点目。とくに言うことはない。呼吸をするように点を取る男、アンデルソン・ロペス。彼が呼吸をした。それだけのこと。

 

 白井のスピードを殺さない、白井に並走している湘南の選手が触れない、白井がコントロールできる、この3条件をすべて満たす素晴らしいパスを、自身も必ずしもフリーとは言えない状態で送った宮澤は素晴らしかった。その優位を白井とチャナティップが、それぞれチャンスをふいにする難局はあったものの、しっかりと点につなげた。

 ちなみにこのゴールは直後主審にハンドと判定されたが、のちに協議によってゴールが認められた。チャナティップがこぼれ球をお腹にあてたあと、右手を振っていて、そのボールが右に転がってゴールに入ったので、主審は見まちがえたのだと思われる。

 

 最後にまたコーナーキックからのどうしようもないマーク外しで失点したが、重ね重ね、どうでもいい。5…。5という数字をたたえたい。世の中で最も美しい数字。