赤坂〜六本木〜乃木坂

 

 今日は赤坂のあたりを散歩していた。僕はおしゃれなエリアはあまり好きではないのだけど、好きではないからといってなにかを回避することもあまり好きではない。とりあえず目的地ひとつ手前の国会議事堂駅で降りよう、と思ったが出口を出たら溜池山王駅だった。おおきな地下鉄の駅の接続関係は複雑ですね。

 

 この日は歩き回るには暑かった。赤坂氷川神社あたりまで行くと、木陰があって涼しくて、涼しい場所でサボっているタクシーの運転手が何人かいた。

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 神社のなかには「包丁塚」というものがあった。赤坂のあたりには昔から料理の名人がたくさんいて、ぼろぼろになる包丁も多かったことから、ここに供養の塚を立てたらしい。

 

 神社を出てあともお昼ご飯を探しながら探索をつづけていた。かなり空腹で、良さげなお店を見つけるたびに、「よし入ろう!」と思うんだけど、なぜか毎回探索のほうを優先させてしまって結局入らなかった。そうしているうちに、横町のように飲食店や喫茶店が軒を並べている雑居ビルを見つけて、そこにあった旭川ラーメン屋に入りかけたんだけど、そのとき近くのほうで「ここからビルの裏に通りぬけられるよ」という声が聞こえたので、ビルの裏に通りぬけたいという空間的な好奇心のほうが上回った。

 通りぬけたところ、ビルの裏でさっきの声の主であるショップ店員さんが遊び人風の銀髪の中年男性にキスをして送り出すところに遭遇し、文学性を感じた。

 

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 卵かけご飯の店だ!と思ってうきうき近づいたら、TKGビルという雑居ビルだった。

 

 無事ご飯を食べたあとは東京ミッドタウンに行き、そのあとは乃木坂へ。乃木坂陸橋という跨道橋があって構造がけっこう面白かった。僕がいたのと反対側の歩道からは、歩道と垂直にある跨道橋に階段でふつうに上がれるんだけど、僕がいた側からはいったん跨道橋の下のトンネルに入って、その内側から上に抜けないといけない仕組みだった。その構造のなかのいろいろな場所に地下鉄乃木坂駅への出入り口が口を開けていた。

 

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 ここは、「TOTOギャラリー・間」。企業の名前を冠しているこういうちいさい美術館は廉価のわりに内容が充実していることが多い。こちらは無料で、内容はとても良かった。展示室自体はそこまで大きくないんだけど、展示は工夫されていて、しかもミニシアターまで併設されている。

 中山英之という建築家の手掛けた住宅を映像化するというプロジェクトで、しかも撮りおろしらしい。推理小説に出てきそうなイカれた構造の家が頻出するが、「家と道」という作品では異なる4つの固定カメラから撮られた家族の日常のひとコマを順にみることで、だんだんと家の構造がわかっていくという仕掛けがあってとても面白かった。家のど真ん中に道が通っていて、その道も生活の空間に含めてみよう、と言ったコンセプトなのだろうと思う。

 また、実際に映像や模型を見ないとなにを言っているのかはわからないとは思うけど、「机の天板をそのまま、1階でも2階でもない、その中間くらいの階層の床として利用する」という仕掛けが施されている家が複数あって、そのアイディアもつよく印象に残った。

 

 「TOTOギャラリー・間」は東京の無料スポットのなかでも最上位の良い場所だと言えるのではないでしょうか。おすすめです。

 

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