Second Saturday

 

Here’s The Deal

Here’s The Deal

 

 

 Second Saturdayという全く知られていないバンドがあり、そのことに彼らの非はまったくない。彼らが有名じゃないのは、100%世界の側に責任がある。

 

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 ジャンルの名前で言えば、パワー・ポップ、ギター・ポップ、サーフ・ポップという感じ。Second Saturdayというバンドがどういうバンドなのか、ひと言で言うと、そしてひと言でしか言えないが、良い曲をこの世に追加した。

 

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 憂いや闇を抱えているわけではないふつうのポップソングだけど、メロディーとハーモニーと展開の心地よさを前面に押しだしたとても良い曲ばかりだ。むしろ、曲にほかの色がついていないということによって、曲の良さがとびぬけた武器になっている。とくに名刺代わりの存在になっているのは「Arianna」と「Forty-Nine Percent」、この二曲を超えるポップソングはこの世に生まれるだろうか? 近い未来、進歩したAIにキャッチーさ、ポップソング、気持ちの良いメロディについての究極の疑問の答えを尋ねたならば、そしてもしSecond SaturdayをそのAIが知っていたのなら、750万年も待つことはなく数秒あればこのバンドをサジェストするだろう。

 

 耳に心地のいい曲には宿命のようなものがあって、一度惚れても、なんどもなんども聞いているうちにどこかでもうこれ以上聞けない、聞いても最初に出会ったときのような感動はもう望めない、というときがくる。曲は抜け殻のようになっていて、曲を聴くことということが、あのときの感動を思い出す引き金以上の意味を持たなくなる。大好きな曲を聴くことがいつのまにか、お墓参りのようなものになってしまう。

 

 この宿命を逃れ、いつ聞いてもはじめのころの感動を褪せずに保っている、僕にとってのわずかな音楽のうちのひとつが彼らのものだった。いろいろ調べてみたところ、ニューリリースはないけれどいまも地元でバンド活動は続けているみたい。フロントマンWyatt Funderburkによるソロプロジェクトも過去あったみたいで、それはすこしエモ感が増してまたべつの音楽になってしまっているが、それでもメロディーとハーモニーの美しさにはSecond Saturdayの面影が残っていた。

 

 また、好きになった副作用として、おかげでSaturdayのスペルも正確に綴れるようになった。