梅カフェに行ってきた/カジキマグロ博物館に行ってきた

 

f:id:kageboushi99m2:20211106193736j:plain

 茨城県大洗町にある、日本初の梅専門カフェ「ume cafe WAON」に行ってきた。9種類の梅から選んで食べられるお茶漬けだったり、梅スイーツだったり、梅シロップを使ったソーダだったり、梅をフィーチャーしたさまざまなメニューを楽しむことができる。

 

 ……そんななか、すでにその辺でちゃんとがっつり目に昼ご飯を食べていた僕が頼んだのは、こちらのメニューだった。

 

f:id:kageboushi99m2:20211111220044j:plain

 梅干し三種ダイレクト食べ比べセットである。いや~、勝算はあったんですよ。もともと僕はけっこう梅干をそのままかじりながらお茶を飲むのとかがけっこう子供のころから好きだったし。

 

 ただ、ここの梅干しは僕が実家で健康志向のおばあちゃんが食べていた減塩はちみつ梅干しとは違う、ハードコアなしょっぱさがあるもので、一口目から塩味できつかった。もちろん、梅干しごとの味の違いも味わえて、風味もとても良かったのだけど、なんにせよ塩!

 ……なんとか、甘い梅ソーダを追加注文したりして完食できたけど、手軽でお得なメニューだと思って軽い気持ちで頼むとちゃんと大変になるので注意してくださいね! 覚悟を決めて注文するなら、かなりレアでフォトジェニックな経験になるんじゃないかと思います。

 

 

f:id:kageboushi99m2:20211111220740j:plain

 そのあとは、おなじ大洗町にあったこちらの施設に来た。「大洗カジキミュージアム」だ。

 

 大洗はじつは「カジキ釣り」で有名なスポットでもあるらしい。最近はコロナで開催できていないものの、毎年夏に行われていた釣り大会は全国のカジキ釣り猛者たちが一堂に会する大きな祭典なのだという。……ちなみに僕の地元である沖縄もけっこうカジキ釣り人たちにとってはアツいスポットらしい。

 

f:id:kageboushi99m2:20211111221304j:plain

 見学は無料で、本物のカジキの大きさを伝えてくれる剥製や、カジキ釣り人たちの栄誉の写真、……そして『老人と海』を書いたヘミングウェイゆかりの地「キューバ」の写真もけっこう飾られている。大きかったり豪華だったりするわけではないが、志の感じられる素敵なミュージアムだった。

 

 ミュージアムの一角は子ども食堂になっていて、子供が集まってスマホゲームをしたり、ミュージアムのひとと親しげなあいさつを交わしたりしていた。

 

f:id:kageboushi99m2:20211111221636j:plain

 簡単なカジキスナックをいただいたが、お値段は100円。……子ども食堂なのでそんなものなのだが、稼ぎのある大人が頼むにはちょっと心苦しい値段設定だったので*1相応の額を募金して帰ることにしました。

 

 ここに書いた内容以上のことを、ミュージアムにいたお兄さんにいろいろ解説してもらった。聞いていて気持ちのいい解説だった。彼自身もカジキが好きなのだけど、まだカジキを釣り上げたことはないのだという。彼の今後の釣り人生と、大洗に暮らす子供たちの、両方に幸があってほしい。

*1:訪れた時点では無職だったが。

900

 

 このブログ、ちょっとまえに900日、900記事を越えました! …1000記事になったら4桁というのはさすがにちょっと多すぎるしまあそれで終わりにしようかなと思ってはじめたブログ生活だが、終わりが見えてくるとちょっと寂しいですね。

 

 最後の節目と言うことで、これまでの記事をいくつかふりかえっていきたい。

 

 床に物を置かない、……床を物の置き場所・収納とはとらえていないひと向けに、なぜ我々床に物を置くタイプの人間が床に物を置くのかをわかりやすく伝えるために書いた文章である。

 僕の周囲にいる床に物を置くタイプの人間からはけっこう共感をもらえたが、床に物を置かないタイプの人間からはフィードバックがもらえていない。ここで書いた内容で完全に理解してもらえたからなにもないのか、それとも真面目に心理を伝えたことで余計に「は?」と思われているからなにもないのか、……どっちかだと思うのだけど怖くて確かめられない。

 

 このとき得た仕事を離れてべつの仕事につき、また逆に髪をまったく切れていないいまになって読みかえすと、個人的にも非常に味わい深い記事だ。

 ……というのは半分嘘で、味わい深いのはほんとうなのだけど、読みかえしてはいない。このブログは僕はまじで自分でめちゃくちゃ読みかえしてひとりで楽しんでいるのですが、こういうエピソードをそのまま書いたような回は、自分で読み返してもそんなに楽しいわけではない。

 

 僕はその体験の、文字に起こされるまえの形を知っているので、どうしてもその記憶にひたっていたほうが楽しいし、記憶との異同、……ここちょっと文章では力点の起きかたミスってるなとかうまく文章にできてないな、みたいなところがどうしても気になっちゃいますよね。

 

 普通に過ごしていたら記憶には残らない、書きおこして改めて形になるような感想とか考えみたいなものをブログには書くといいっぽい。

 

 逆にこういうのは、読むがわとしてはなにも楽しくないと思いますが、書いているがわ、そして読みかえすがわとしては非常に楽しい。書きながら、そのときだけの何かが形をもっていくような気がするのである。

 

 レビュー系で書いていて楽しかったのはこのあたりだ。とくに地獄のミサワさんのアイマス漫画の話はここ5年くらいずっと「良さ」を語りたくてしかたがなかったのだけど、地獄のミサワアイマスにハマっていた漫画1個だけを載せたはてなブログを作っていた時期のことが自然なリアルの会話で話題になる機会はなく、しかし、ブログに満を持して書くには、この「良さ」が果たして俺に伝えられるのか…? と不安で。

 

 ……やっとだ!

 

気持ち悪い場所を離れて

 

気持ち悪い場所を離れて
冷たい空気の実家に帰れば
部屋の窓枠に並ぶ
研究に一生かけてもいいような本たちが
逆向きに
私を見つめている

布団をかぶったあと
眠りにつくまでの間
私は夢を見る
選ばれなかったものが
こちらを見つめてくる
動作のない夢を

自愛は万能薬ではないが
かわりに確かに存在している

雪の降る庭が白く
暗やみの中で風邪をひいている

前は方向ではなく
いのちが倒れていくプロセスだ

これからは
自分の目と指を台無しにする
長い時間
困難は分割せず
むしろこまごまとした出会いを
ひと固まりの困難に作り上げながら
謎のなかに
暮らしていく

あなたたたちのもとを離れない~アントワーヌ・ローラン『ミッテランの帽子』~

 

 ミッテランというのは第五共和政フランスの4人目の大統領*1であり、リベラルな改革を推し進めつつ対外的にはEUの設立などの功績を残した政治家である。

 

 そんなミッテラン大統領が忘れていった帽子が、人々の手を渡っていき、彼らの人生に変化を起こしていく、……というのがこの『ミッテランの帽子』という小説で描かれる物語である。

 

 帽子を受け取ったのがどんな人物で、どんなシチュエーションのなかにいて、帽子がどんな運命を運んでくるのか? というところをさまざまにアレンジしながら進んでいく変奏曲的な作りを第一にしているのだけど、(とくに最初に大統領から帽子を置き引きする男がアグレッシブすぎるせいで)ストーリーにはたんに同趣旨の物語の連続ではない、ふたつ目の構造が入っていて工夫がきいている。

 

ロールスロイスは赤信号を無視して急ハンドルを切ると、ベルナールに笑みが浮かんだ。驚きの笑み、茫然自失の笑み。彼はもう何十年もこうして笑っていなかった。いや、おそらく今までに一度だってなかった。〈彼らは夜の果てに私を連れていく/夜中のデーモンに〉、もう名前を忘れてしまったロックグループはそう歌った。曲のリズムは立ち並ぶアパルトマンや星のないパリの夜空を揺さぶった。

 お話も「こういうところからお話を作ってくるんだ!」という、おしゃれな展開が並んでいて、しかもたんにおしゃれなだけじゃなく、技術を集めて読者を面白がらせようというのが伝わってくる、ページをどんどんめくりたくなるようなものになっている。全体としてシチュエーションコントのようにもなっており、そのうえで、人間の足りなさや愚かさ、そしてひたむきさを愛のある視点で笑いに変えながら描き出す。三谷幸喜の作品とかが好きなひとなどはかなりこの作品とも相性がいいのではないか。

 

 僕もそういうタイプの人間なので、正直最終的には電車の中で大泣きしながらこの本を読み終えることになった。こんなに泣いたの、マジかよ。失恋したくらいしくしく泣きました。

 

 いちばん好きだったのは、ミッテランの帽子をかぶりはじめてから思想がとつぜん左になった由緒ある資産家が、当時無名だったバスキアの作品を購入する決心をするシーン。

 あそこは、人間の力と運命の力、ユーモアと皮肉、応援と切なさが絶妙な配合でまじりあっていて、傑出した作家だけが人間に吹き込むことのできる、どんな色合いともいえない感情を体験させてもらえた。

 

 1980年代のフランスのさまざまな文化が実際の名前で登場するので、いろいろインターネットで検索しながら読む本になると思う。どうせすることになると思うので、まったく聞いたことなかったというひとは、「ミッテラン」だけでも検索してかるく知ってから読むとより楽しめると思う。

 傑作なので読んでね。

 

*1:ド・ゴール、ポンピドゥー、ジスカールデスタンのあとを継いだ大統領であり、その後はシラクサルコジ、オランドときて現在のマクロンにいたる。

アントニオ・コンテでどうなるか~21/22プレミアリーグ第11節 エヴァートンvsトッテナム~

 

f:id:kageboushi99m2:20211108144728p:plain

VAR drama in Antonio Conte's first Premier League match | Highlights: Everton 0-0 Spurs - YouTube

 

 トッテナムは今年からの監督ヌーノ・エスピリト・サントを解任し、新たにアントニオ・コンテを迎えた。……名将さえ招聘できればチームは変わる! と信じたい気持ちはあるものの、モウリーニョで一回ちゃんと失敗しているので、テンションが上がっているかというと、微妙。

 でも、コンテを監督にするということは移籍市場で大金を使うということでもあるので、そのへんはちょっと楽しみかもしれない。トッテナムのマネーフットボールからちょっと距離を置いた強化方針は好きだったけど、それも勝てているあいだだけなんすよ……。

 

f:id:kageboushi99m2:20211108145320p:plain

 試合はとくに見どころなく0-0で終了。どちらのチームも人数をかけて守っていて、攻撃にそれを壊すようなアイディアや仕組みはなかった。勝ちに値する内容ではなかった*1が、こういう試合こそ解任ブーストで勝っておきたい、勝っておければ終盤の勝ち点計算が楽になるのに……、と思うような試合ではあった。

 

 調子のいいときのスパーズはこれくらいの内容でもケインとソンが勝手に点を決めていてくれ、結果勝てたのに……。

 

 以下、システム変更に関連する雑感である。いまウィングバックで使われているエメルソンとレギロンは、どちらも気の利くありがたい選手だけど、大外レーンをひとりで任せるにはクロッサーとしてもフィニッシャーとしてもすこし物足りない。セセニョンやドハティにはかなりチャンスがあるのではないか。シチュエーションによってはルーカス・モウラをこの位置で起用するというのもありなのではと思う。

 

 シャドーの位置にルーカス・モウラソン・フンミンというウィング系統の選手を置いていていいのかという問題もある。基本的にはスペースを享受するのは外のレーンの選手になるので、スペースにアタックするという両選手のいちばんの持ち味をこのままでは活かしにくい。

 バランス的に見ても片側は(となるとルーカス・モウラを外すことになってしまうが)ロチェルソやエンドンベレといったチャンスメイカー系統の選手を置いてもいいと思うのだけど、ボールを触れる位置まで下がっちゃってアタッカー不足になりそう。カタログスペックだけで見るとアリでもいいのだけど、圧倒的に最近は実績不足だ。

 

 順位表を見るのはいったんやめて、今期はだれがコンテのチームに生き残っていくのかを楽しみに応援しようと思います。最後のところで4位以内に入れるかも…?みたいな目が残っていたらいいね。

*1:見どころはホルゲートのレッドカードのところくらいである。

ここは魔法の国


ここは魔法の国
腰に手を回せば
100年安心

君たちは
指をくるり
水は渦になって
排水溝から
起き上がってくる

間取りはほどけて
ひとりの人間の
体内に

砂が
ゆっくり
降ってくる

取り返しがつかないのは
つぶれたメリーゴーラウンド
とけたボディソープ
シーツの裏側に
隠れて出てこない夜だけ
どうか
裏切って帰っておいで
恋人たち
みなさん

すてきな
催眠術
燃えつきる煙草も
すでに現実じゃないの

ポルノグラフィティの曲をシャッフル再生して鳴っているあいだに鑑賞文を書く

 

 曲をピックアップして鑑賞文を書く、ということをこのブログでは結構やっている。そういう鑑賞文を書くときには鑑賞元となった曲を流していることがほとんどなのだけど、ポップミュージックの3~5分くらいの時間幅だとそのあいだに書ききることができないので、しゃあない、リピートしたりべつの曲を便宜的に流したりしながら書く、ということになる。

 

 では逆に、ほんとに曲が流れているあいだだけその曲の鑑賞文を書いたらどうなるのか? 試したいという気持ちにいまなっている。始まるまではなんの曲について書くのかわからなくて、はじまったら、曲を聞きながらタイピングして、最後の音が鳴ってしまえば文の途中でもおしまいだ。構成を考える暇もなく、推敲もできない。

 

 いちばん慣れ親しんでいる、…ポルノグラフィティの曲であればランダム再生しても人の心を動かしてこれを聞いてみたいと思わせるような鑑賞文くらい簡単に書けるはずだ、曲の鳴っている間、という縛りがあってもそこそこのものができるだろう。やってみたい。スタートですっ。

 

Music1 ヒトリノ夜

 あー! いいのを引きました! 楽勝! アポロのヒットを受けた2ndシングル曲で、これではいまいち一発屋のそしりを免れない微妙な曲……、みたいな評価を当時は受けたみたいだけど、文脈なしで聞いてみれば展開があってノリノリで、ほかのポルノグラフィティとの曲とも上手く差別化ができてて、ファンの多いいい曲になっていますね。

 「GTO」のタイアップ曲にもなった。時間が余ってる。いま「痛みのないしゃれたストーリー」のところくらい。「心の性感帯」ってキショいフレーズですよね。

 

Music2 ROLL

 リズムがあってとつとつと語るようなサビ始まりの曲で、リフ部分に入る「ででででー」って盛り上がりが素敵ですよね。あと、この曲について僕がずっと言ってて、たぶんどこかの記事でも言及したんですが、裏で鳴ってるカシャンっていうクラッシュ音がすごいすき。

 この時期のポルノグラフィティによく見られる2番Aメロを半分にするというのがきいている曲のひとつだと思う。Cメロを引っ張って「恐れてたんだ」とサビにつなげるところも素敵。

 

Music3 アニマロッサ

 引きがいいな…。これも100万回聞いたおなじみの曲で、BLEACHの曲にもなっていたので意外と知名度もある。

 この曲についていちばん僕が言いたいのは間奏に入るまえの「ちゅーる、ちゅっちゅ、ちゅーる」のぶぶんの背後で流れる、緊張感を保ったまま上下に動くギターのフレーズ。音源でいま聞いてめっちゃ目立ってないけど、ライブでの迫力はすごかった。

 

Music4 カルマの坂

 これ、ちょっとまって。人間にはそれぞれの中二病の発症のトリガーみたいなのがあったとは思いますが、僕よりちょっと上の世代のポルノファンの多くのひとにとってこれがそれだったんじゃないでしょうか。

 「天国も地獄でさえもここよりましならどこへでも行こう」男の子が女の子と出会い、現実の世界の無常さをまのあたりにするというそれなのストーリーを持った歌詞がすべての曲で、……じつは思春期を過ぎると聞く理由があんまりない曲になったりする。

 でも、物語のいろいろな緊張を乗り越えてでてくる、Cパートのふわっとした感じと

 

Music5 グラヴィティ

 狙ったかのような最後の曲にふさわしい曲でおどろき。ファンならわかると思いますがこの曲、まじで人気なんですよ。

 その人気の源は歌詞のもつ清楚さと一途さに、ある一部分はあると思う。残りは、赤ちゃんをあやすモビールのついたゆりかごみたいな、ゆったりとした背景のなかに手を取ってみたくなる星をいくつかちりばめた曲叫、そしてローからハイへテンションを移りながら、最終的にはワルツで終わる曲にあると思います。これはみんな好き。

 

f:id:kageboushi99m2:20211026040106j:plain