レーダー探知機

 

 Darwin Deezというバンドの「Radar Detector」という曲がとても好きです。すごい安っぽい音が鳴っているのだけど、それでも安いながら展開に富んでいて飽きない、聞いていてわくわくするし、そのうえでけだるげな芸風で歌っているボーカルにも味がある。

 とくにだらーっとヴァースを歌っているところから、短いブリッジを通って、ファルセットを使うコーラスにスムーズに、……けだるいイメージを壊さない何のことなさで移行するんですが、そこが大好きです!

 

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 Darwin Deezはニューヨーク出身のバンドで、活動開始は2009年、4枚のオリジナルアルバムをリリースしている。アルバムをひととおり聞いてみた感じ、作風に一貫性があって、どの曲もとてもよい。

 

 ただやっぱり「Radar Detector」の話をさせてください。せっかくここまで好きになったので、歌詞も読んでみることにする。ふだん聞き流しているときの感触では、けっこういいことを言っている気がするのだが。

 

You and I buy star maps and drive my car around Los Angeles
You and I buy star maps and ding dong ditch a televangelist

 けっこう構造的にはかっちりとしている(文のかたちとか、対比とかがパターンになっている)歌詞で、たとえば最初のヴァースはこんな感じ。

 

You and I go shopping and find exactly what we're looking for
You and I go shopping and fall asleep inside the mattress store.

君と僕は買い物に行って、欲しかったぴったりのものを見つけた
君と僕は買い物に行って、寝具屋さんで眠りに落ちた

 2番のヴァースはこちら、……都会の楽天的さがあって、そこにちょっと不穏な影が差しているような感じ。なかなか良い詞じゃないでしょうか。

 

You are a radar detector
I drive a thousand miles an hour
I won't go on and on
But you are always looking out for me

 サビの歌詞はこちら。「君はレーダー探知機」(警察のスピード違反取締レーダーを先に発見して取り締まりを逃れるための探知機)と言って、めっちゃスピードを出すんだけど、「君」は助手席であんまりいい顔をしていないよ、ということを言っているように見える。

 

 いいとは思うけど……、あんまり文学的な意図を深読みしないほうが正解なのかも。