リサイタルズ 「Dejavina (Japanese ver.)」のコミックソングとしての力

 

 東海オンエアの目立ちたがり屋上位3名(あるいはジャイアン選手権のエントリーメンバー3名)で構成されたユニット「リサイタルズ」の2曲目のリリースとなったのがこの曲「Dejavina (Japanese ver.)」である。

 1曲目の「俺らリサイタルズ」が、まあ、ファン向けのおもちゃとしては決して悪くない出来ではあったのだけど、決してそれ以上のものではなかったため、2曲目もおなじようなものでしょう、と思って動画公開後もとくに見ていなかったのだけど、実際見てみたらとても良かったのでびっくりした。

 

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 基本のようなコミックソングだった「俺らリサイタルズ」とは違って、「Dejavina」はしょうもない量産型かっこよヒップホップみたいなMVの始まりかたをする。この時点でけっこう笑ってしまったのだが、本番はリリックが繰り出されてからだ。

 

肩甲骨が just why 裏返った 

 初めて聞いたときにはここで息をつくように爆笑した。そりゃあ肩甲骨が裏返ったら「just why」以外の感想ないでしょうよ。

 ……この曲の巧妙なのは、この肩甲骨の部分は曲の始まりからすこし進んだ部分にあるのですが、そこまでの歌詞は「たしかに奇抜なんだけど、そういう意味は適当で語感重視系のかっこいい系の歌詞」ともとれる感じなんですよね。ここでやっと、笑っていいんだ、ということがわかって、なんか安心したんですよ。

 

スーパーカーのタイヤにケバブつけて回す君

 しばゆーが特徴的な低温でこう歌うシーケンスで、「これ、しばゆーが歌詞書いてるだろ!!!!」と思ってさすがにいったん再生を止めて曲の情報を検索した。

 思えば1曲目の「俺らリサイタルズ」はべつの作詞家がついていて、まあそれは当然のことなのかもだけど、彼らはここまでセルフプロデュースで成り上がってきた集団。作詞も内製してしまっているほうがはるかに魅力的に聞こえる。

 

Dejavina ja-va-don….
脳のシワであみだくじ

 あんまり不用意に「こんな歌詞しばゆーにしか書けない! 天才!」みたいなことは思いたくないのだけど、……面白すぎる。

 

君のホクロと同じ形の大陸

 よくちゃんと聞いたら、いちばん面白いフレーズはぜんぶしばゆーのパートになっている。ちゃんと持って行くのだな。

 

サドルに火を灯して
through the breath in your heart
肩車2人あの日の影 飛び越えて

 なんで灯すのがサドルなんだよ。サドル以外はほんとうにふつうの愛の歌詞なのに、その愛のテンションでサドルに火をともしている光景を考えると笑ってしまう。

 

ちょっと目を閉じて聞けば、空耳的にK-POPソングにも聞こえなくもないのは、日本語でいう「あかさたなはまやらわ」に当たる「ガナダラマバサ」の音が頻繁に入っており、そして「ってる」「った」という詰まる音が組み合わさっている語感のよさからだろうか。

 この曲を好意的に分析したRealsoundの記事もあった。そんな感じでなかなか面白く、力のある曲なので、東海オンエアの食わず嫌いしていたファンは、ぜひどうぞ。

 

 曲のタイトル「Dejavina」は造語であることがこの回で明かされていた。「Japanese ver.」ともあるがほかのver.があるわけではべつにないと思う。