頭のどのあたりがいいのか?

 

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 最近ではそう思われることはほとんどなくなってしまったが、一応子供のころ僕は「神童」というものをやらせていただいていて、「頭がいいねえ」「勉強ができてうらやましいどすなあ」などと褒められることがとても多かった。*1

 

 「頭がいい」というのはあいまいな形容で、実際にどういう知的な能力*2について「良い」と言っているのかはそのときに応じて様々でしょう。記憶力、論理的思考力、計算力、などなど、「頭がいい」と総合的にほめるところの下位カテゴリにあたりそうな言葉はけっこうある。

 「頭のどの部分がいいのか?」というのはたぶん人によってけっこう違うのだ。今回はその中から、個人的に自分のなかで「自分のほかの能力と比べてけっこう優れている」と思う知力の下位カテゴリを挙げていきたい。

 

Brain 1:メタ認知

 自分の「知」についての知識、つまり自分がどの程度知っていてどの程度知らないのかを把握する能力のことであるが、僕はこれがめちゃくちゃ上手だと思う。……実際この回のようなことを考えるのも、このメタ認知力あってのことである*3

 これがあると自習の効率がとてもあがるので、基本的に教師を信用していない僕にとっては非常にありがたいステータスだった。2周目に引き継げるなら、最優先ではないが、できれば残しておきたい力である。

 

Brain 2:ピック力

 ……これはふつうに使える言葉でこの概念を表す言葉を僕は知らないんですが、「手持ちにあるアイディアの中から、明示的あるいは非明示的な基準に合致するものを選び出す、ピックする能力」というのがあって、僕はこれがかなり早くて正確である。

 「発想力」「機転」という言葉も近いのだけど、突飛なアイディアを新しく思いつく能力というのは僕にはそこまでない。あくまで出たアイディアの中から、その場で使えるものをとっさに選び出せるだけである。「発想力」から「創造力」を引いたみたいな残りみたいなステータスといってもいいと思う。

 

 問題を解決するにあたって、「問題の性質を分析して解答がありそうな範囲を絞る」と「出た解答候補から解答としての条件を満たすものを特定する」というふたつの相補的アプローチがあるのですが、僕はずっと後者に圧倒的に軸足を置いてきた。早押しクイズみたいな瞬発力が必要とされる課題に正解したり、会話の中でその場に応じた気の利いたことを言う、みたいなのには非常に役に立ち、得意げになれるのだが、一方で理詰めで正解まで、トレースバックできるようなやり方でたどり着ける人を見ると反射的にちょっとうらやましく思い、尊敬してしまう。

 

Brain 3:テクストの読解力

 文章が明示的あるいは非明示的に意味している内容を把握すること、隣接したテキストが共通して持ちうる文脈を把握すること、あるいは一般にパターンを発見してそこに意味を付与すること、がよくできる、という意味での「テクストの読解力」は僕にはけっこうあって、僕の見立てではこれが僕の人生を生きるに値する豊かなものにしている。

 音楽を理解することとか、身体を正確に操って運動することとか、他人と情緒的な絆を結ぶこととか、車を運転することとか、僕にはいろいろ能力的に厳しいことがけっこうあるのですが、それらぜんぶ*4ができなくてもなんとかこれがある、というのが個人的には大きな慰めなのだ。

 

Bad Brains

 ちなみに知的能力で僕がかなり苦手にしているのが、計算・推論と空間認知である。来世ではこれを得たいですね。頑張れ来世!

*1:その他の分野で成果を出すことはできなかったし、べつに性格も良くなかったので、聞いた覚えのある誉め言葉と言えばほぼこれである。

*2:ほんとうに広い意味で「頭」の能力を考えると、指を細かく動かして楽器を弾くとか、喜びや悲しみを深く感じ取るとかも「頭」の機能な気がするが、ここでは一般的に「知的」とされている能力に絞って考えたい。

*3:ただ、自分で「メタ認知力あります!」って言ってのけちゃうのは、そりゃメタ認知力が高いと自分にメタ認知力があるってわかるけど、ない場合は自分にないってわからないからありますって言っちゃいますね、という話になるのであまりなにも言ったことにならない。僕にはあるんです、信じてください……、としか……。

*4:出来たらかなり楽しそうであり、できるひとが非常に(いい意味で)妬ましい。