「ヒカルの碁」好き漫画家のツイートで「ヒカルの碁」の良さを思い出す

 

 杉野アキユキさんというマンガ家が、「ヒカルの碁」の好きなシーンを描いたツイートをしていて、それを見て「ヒカルの碁」の当該シーンを思い出してうるっとなった。この本田さんがイモを買うシーン、いま思い出すとすごい面白いシーンなのだけど*1、恥ずかしながらこれが切り出して「良かったよね」「良かった~」と話題になるようなシーンだとは認識していなかったので、なんというか、目を見開かされたような気分だ。

 

 いま思い出すと「ヒカルの碁」、こういうなにげない、だけど人間の人生を深く表すような描写が破格に上手である。

 

 このプロ試験合格発表のシーンなどもほんとうにそれ。主人公であるヒカルがプロ試験に挑み、合格するという中盤の軸となるストーリーなのだけど、ドラマを繰りひろげるのは越智、伊角さんといったそれまで脇役だったキャラクターである。

 その脇役に焦点を当てた描写が入ることによって、正直このへんのシーンはヒカルより伊角さんに肩入れして読んでいる読者のほうが多いと思う。それを利用して、ヒカルが合格を決める場面を伊角さんの視点で描く。この、伊角さんに気を遣うような表情をする男、その表情でなんとなく結果を察してしまう伊角さんと読者、この構図がすごいんだよプロ試験の最終盤は……。

 

 杉野アキユキさんは「ヒカルの碁が好きなミルクボーイ」というショートネタマンガをTwitterに挙げていらっしゃってこれもまたラブリー。「ヒカルの碁」は作中の時間と連載中の時の流れがほぼ一緒、という話を聞いてへえ~と思った。

 

 たしかに、流れている時間のペースが作中のどの時点でもおおまかにはいっしょというか、ヒカルという主人公の時間という枠があってそのなかに物語を当てはめてドラマにしているというか、物語が先にあって端折ったり濃厚に描いたりする場面を決めるのではなく、時間を時間として流して描いている、大河ドラマみたいな時間経過の特徴がある作品ではあった。

 

 ほったゆみさんの「ネームの日々」がめちゃくちゃ面白い→わかりすぎる。

*1:話の流れとかにはまったく関係ないが。