味の深い事実だと思った ほか

 

FX戦士くるみちゃん

 「FX戦士くるみちゃん」というマンガが広告で表示され、気になったのでお試し読みをしてみた。そのあと1巻を購入し、原作者のホームページで公開されている原作を読んだ。もとは新都社に掲載されていたWebマンガらしい。

 

 FXの事前知識はなかったのだけど、とても面白く読めた。FXと関係ない部分が面白いのではなく、FXが面白い。なにがなんなのかちょっとしかわからないんだけど、FX描写の流れとか雰囲気で伝わるっていう……、「ヒカルの碁」を読んだとき以来の感覚だ。

 Webマンガ原作でもコミックフラッパー版でも、コマ単位で面白いコマが多く、TwitterでFXアカウントのリプライツリーにスクショを見かけることがこれから増えるマンガかもしれない。

 

 スクショで流通するのを狙って、なるべく情報をまとめてコマ単位で完結させたインパクトのあるコマが多くしよう……、みたいな作りかたの変化って起きていたりするのかしら。

 

味の深い事実だと思った

f:id:kageboushi99m2:20210919142437p:plainhttps://pokemon-rules.net/cheater/auslove-tv/

 「改造ポケモンを自動的に大量作成・交換市場に大量放出し、その自動化された様子を24時間ライブ配信して投げ銭をもらうことでお金を稼いでいる」というひとがいるらしい。

 ポケモンには「マジカル交換」という、世界中の誰かとランダムでポケモンを交換できるというシステムがあって、これをやっているとこの「一人ロケット団」が作成した改造ポケモンが来て迷惑、ということがある。その改造ポケモンの出所を探っていくと見つかるのがこの謎の人物なのだ。

 

 どんな人物なのか。YouTuberがこれの配信現場やホームページ、その他SNS上での活動を紹介している動画がこちら。

 ここではさっきの記事よりは好意的な見かたがされている。たしかに、イラストSNSに際立ってすごいわけではないが決して下手でもない本人作のポケモンイラストが投稿されていたところとかは、人間味を感じた。

 

 世界の複雑さを感じられる、味の深い事実が見れて良かった。

 

『差別はいつ悪質になるのか』

 デボラ・ヘルマンさんという人が書いた『差別はいつ悪質になるのか』を読んでいた。「人を区別するとき、その区別がその人を貶価するようなしかたでされると、それは悪い差別になる。貶価というのは、約束などとおなじで、社会的慣習などさまざまな条件によってそれとみなされるものが決まるような種類の行為であり、道徳的に平等に扱われるべき人をそのように扱わないことである。区別が悪い差別になるかどうかは、その区別の合理性、区別した人の意図、差別の結果などとは関係がない」といった主張をする本である。

 

 ある行為が差別かどうか?という難しい部分を、社会的に解釈される行為の意味や実質に負わせて、意図や結果、合理性などを差別の議論から切り離すのは面白かったし穏当だと思ったけど、実際ある行為を差別かどうか判定するための行為の意味の解釈を社会のなかで作るときに、ひょっとしたら一回無視した意図とか結果を参照したほうが良い解釈になる、……みたいなことになるのではないかという気もちょっとした。

 言語行為論でいう約束とおなじようなものですよ、といわれると確かにいちど納得しちゃう。言語行為論で言語行為の種類?を特定するときに、行為の意味だけでなく、結果や意図をどこまで考慮に入れる説が有力なのかがわかればこのへんもすっきりするのかなと思った。

 

 あと面白かったのは、「道徳的平等を毀損する悪い差別」「道徳的平等を毀損するという差別の本質的な意味では悪くないけれど、所属組織の理念に反するとかのべつの意味で悪い差別」「運悪く不利益を受ける人もいるが、悪くはない差別」を区別しているところ。けっこうドライである。

 実際に日常にある差別について議論するとき、(それがどれにあたるかは依然として難問だとは思うが)この3つの区別を意識していると話がしやすくなりそうだなと思った。