眠たいまぶたの隙間から


眠たいまぶたの隙間から
寝がえりの距離を測る
きみにとって
はじめてのことは
いつも突然に
続々とやってくる

そのとき私は
命名権をはぎ取られたスタジアムで
ひざまずいて
神様に祈っていた
勝利よりも
大きなものを

私たちのすべての両親は
その多くが土のなか
海のなか
大気のなかだ
わずか4人だけが
テレビの前のソファにいま座っている

80分が過ぎて
君ははじめての回転をあきらめ
眠りにつき
祖父がその背中に毛布を掛ける
私は激しく呼吸していて
この試合に負けるだろうと思う

観客が軽々しく
奇跡と呼ぶものは
私ときみにとっては
たんなる喜びだ、だけど重たい
時間のなかにそれが紛れ込んでくる
気配がする、遅れてやってくる
そんな一瞬前の
これは「出来事」だった