僕たちは素朴な大容量の脳を

 

僕たちは素朴な大容量の脳を
それまで通り水汲みのためだけに使っている
世界のことわりは想像していたとおり
毎夜大浴場できみたちとわかりあった
ひとつひとつの真実と
ぴったりの相似形だね

建物の管から這いあがってくるものに
爬虫類のころの魂は
悲鳴を上げる
哺乳類の魂は
どうにかわかりあえないかと考える
魂のまじりあった部分は
空っぽの頭を抱える
這いあがってきたものが
絡みつきながら気さくな挨拶をする
「こんばんは」

外に出て身をあらわそう
壁のそばでもたれずに立っていよう
使えるものをついでに拾おう
きみたちのうち
何人が一緒にいられる
本当の友達?

はたして

僕たちは濡れた取りつかれやすい体を
通りすがりの目を恐れずに
ただ僕たちのものだとして所持している

世界のことわりは想像していたとおり
昔大浴場できみたちとわかりあっていて
同時に自分からはじき出したいと恐れていた
真実たちと相似形だね