ガールズ&パンツァー最終章 第3話

 

 昨日公開されたばかりの「ガールズ&パンツァー最終章第3話」本編の内容を含む記事なので閲覧にはご注意ください。

 

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 だいたい1年半ごとに50分程度の新規ショートムービーが劇場公開される、という狂ったタイムスパンで続いている僕の最推しコンテンツ。3月26日に最終章第3話が公開されたので早速見てきた。

 

 前半部分はややウェルメイド。知波単戦は、ガールズ&パンツァーとしてはめずらしく、戦闘中に解決しないといけない物語的なとっかかりがいくつかあるためか、それをまとめるのにエネルギーが割かれていて、ガルパンの面白さのひとつであるのびのびとした戦闘のストーリーラインがちょっとスポイルされているように感じた。

 

 そして後半の前半部分、ライバル高校の戦闘がちょこっと描かれるシーンはウェルメイドにすらなりきれていない、ただ雑なシーケンスだった。あそこを期待はずれに感じたひとは多かったのではないでしょうか。

 ガルパンはとても成熟したコンテンツになってしまい、作品内のいろいろな部分にファンがついた。各ライバル校も一応フォローアップしないといけないという制約がかかってしまっており、そのくらいの分量しか盛り込まないのであれば無いほうがいいと思うのだけど……、といったシーンも言いわけ的に入っている。ガルパンのこれまで取ってきた面白さ戦略とは逆行している。

 

 ただ、そういう構造的な問題が出ている部分を除いて、細かいところに注目するとやっぱり、ファンとしては見れてうれしいシーンがたくさんあった。それをいくつか列挙していきたい。

 

・華さんの目薬
砲手である華さんは目を酷使しているんだろう、という作品細部への気づきを促し、その上、砲撃と目薬という形態的な類似も持っている。モチーフの選択が圧倒的に正しい。

・照明弾まわりの演出
無音にして光を際立たせたり、説明のセリフを入れずにキャラの演技だけで眩しさを表現したり、そのときの光そのものの表現だったり、とても力が入っていて見ごたえがあった。

あんこうチームのローテーション
見たとき感極まってここで涙出た。キャラの役割交換、っていうオタク的にめっちゃおいしいシーンを、本当にさりげなく、きれいに物語上で演出するので……。

・アズミお姉さま
この踏み込んだ感じには賛否両論あるとは思うけど、cpが生まれるときの音がマジで耳元でしたよね。

・アヒルさん撃破後の福田
本当に一瞬のカットで、明確になにかを語る表情はしていなかったのだけど、それが全て効果的になっていて圧巻だった。

・ナオミさんの撃破してピース
キャラ解釈の解像度がよかった。キャラに愛着を持っているアニメの新作を見るときに一番うれしいのは、それまで気づかなかったし、実際にしてくれるまでそういうことをするって知らなかったようなことを、そのキャラが説得力を持ってしてくれて、「事実の地平」が遠くへ拓かれたときですよね。

・逸見エリカ
逸見さん周りに関してはとてもよいハンドリングをしたと思う。なし崩し的に今の重要な位置に置かれて、「自分の戦車道とはなに…?」という問いを背負うことになった逸見さんだけど、これまでの物語から導き出せるような回答はなかったので、ちょっと無理して作りつつ、ドラマの本筋に絡めていかないといけなかった。
そのハードルを見事にクリアしていて、陳腐な鬱展開も最小限に切っている。
逸見さんの攻撃場面では、劇場版の終盤に、カチューシャ、レオポンさんと組んで大学生を攻撃したシーンを引用していると思う*1のだけど、そことか、薄い西住みほとの因縁から回答を導き出しているのはすごい。

 


 ……BC自由の出番が終わるとけっこう冷静に観れるものですね。逆にいうと知波単推しのひとは今回は正気では見れなかっただろうし、さらに逆に僕もBC自由の戦う1話2話で「戦闘がウェルメイド」とか言われても、「は!? BC自由が頑張ってるんだが? ウェルメイドもなにもある!? 黙っててください!!」となったと思う。

*1:自信なし。