長靴


長靴に水が入っていく
ひたひたと詰まってく
あおいゴムの水槽で
自分の足首を飼っていた
あの頃

 

時は水平で
母さんは恐ろしく
父さんは生きていて
木星
いまよりもずっと若かった

 

僕は水槽に
自分の指を差し入れて
金魚に自分を食わせてやった
金魚は喜び
母さんは怒り
金魚は死に
水槽は運び去られた

 

父さんは木星

 

そして僕は
長靴に雨を集めて
木星と交信し
ひたひたと詰まったら
隙間から指を入れる

 

足首を握りしめる