最近文学を感じたニュース ほか

 

最近文学を感じたニュース

男性は深夜2時、アドリア海沿いの自動車道を歩いていた。疲れ果て、寒さに震える男性は、妻と喧嘩した後、熱を冷ますために450キロを歩き続けたと警官に語った。男性は、聖ピオ神父ゆかりの町サン・ジョヴァンニ・ロトンドを目指していた。
男性は1日に平均60キロ歩いた。食べ物や飲み物は、旅路で出会った人たちからもらったとみられている。

 「スプートニク」というロシアのメディアの日本語版が報じていたこのニュースがかなり良い文学だったので何回も読んだ。そのまま読んでも興味深い、世界にはこんな深遠なことが起こるんだ、ってニュースだし、ニュースでは書かれていないディテールに想像を巡らせれば、何通りもの短編小説の幻が読める。

 ミニマルなロードムービー風の幻も良いし、落ちが綺麗なので実存小説のパロディみたいな作風でもいいかもしれない。間に突飛な展開を何重にも入れて、マジックリアリズムにしたりポストモダン長編小説にしてもいいと思う。

 

新番組「やべっちスタジアム」が面白かった

 テレビ朝日で長く続いた「やべっちFC」の終了は、国内のサッカーファンをどよめかせた。……海外日本人選手や日本代表の活動にちょっと寄り気味だったり、J2以下のカテゴリはほとんど無視されていたりと、Jリーグファンからするとちょっと残念なところもあった番組だけど、選手が自分で自分のプレーを解説するコーナーだったり、シーズンインの名物企画「デジっち」(今年のデジっちにかんしてはこちら)だったり、……あとは番組全体として現役のサッカー選手たちと築いている信頼関係が魅力的な、他にない番組だった。

 

 噂は「やべっちFC」終了のニュースが流れた直後からあったけど、今回無事に、DAZNで、ほぼ内容をひきついだ新番組「やべっちスタジアム」が公開されることとなった。

 加藤浩次が言っていた24時間やべっちFCとか、矢部と加藤で並んで1試合見るだけの番組とかまじで見たいし、川崎フロンターレの優勝特集前半も素敵だった。

 

 あとやけに印象に残るのが、スタジオでキャスターをする黒木ひかりさん。通信制の高校に通っていて、いま20歳で高校5年生らしい。……僕は人が留年しているとわかると無条件で最大級の好感を抱いてしまう*1ので、このキャスティングはとてもうれしかった。立ち居振る舞いも、かなり肝が据わっている感じでかっこいい。毎週見ようと思います。

 

ポケモンと動物倫理

Amazon.co.jp: 名探偵ピカチュウ(吹替版)を観る | Prime Video

 「名探偵ピカチュウ」を見た。面白かった。ちょっと斜に構えた口コミも聞いていたのだけれど、……これは斜に構えてみて面白くなるような立ち位置の作品ではないだろうし、逆にまっすぐな気持ちで観れば、ベストエフォートといえるような仕上がりになっていると思う。

 

 人とポケモンのありかた、……とくにバトルまわりが倫理的なチェックの入ったものになっていて、非常に進歩的だと思った。世界的なコンテンツになって、ポケモンは、本編のゲームでももう3,4世代先にはバトルとかボールによる捕獲という根本的なシステムを見直すのではないかな、という気がする。

 作中で食事のシーンがないのもたまたまではないと思う。エイパムから逃げたあと屋台街を歩くシーンで食べ物っぽいものは見えるんだけど、その原料がなんなのかはよくわからない感じで、明確に「肉」なものはなかった。

*1:逆に留年していない人間はその時点でちょっときらい。