山桜桃と書いて「ゆすら」と読む。正式な名前を「ゆすらうめ」という、桜の親戚のような植物で、赤く小さな果実は漬けてお酒にしたりする。果実を絞ったジュースは、魔女の宅急便の原作に登場したりもするらしい。
その山桜桃を名前に持つ、ムラタユスラさんというシンガーソングライターがいて、2年くらいまえからファンでよく聞いている。
こちらが、ファーストアルバム。とあるきっかけがあって、この中にある「自転車の歌」という曲を聴いていた。そのときは「ふうん」という感じだったのだけど、歌メロが印象的で、その印象的さを構成していた「切さ」みたいなものがけっこう肯定的に自分のなかで引っかかっていた。幸い、「ムラタユスラ」という名前を憶えていたので、そのあと検索してみて、Youtubeにあったアルバムのティーザーを何周かしてみた。
僕が昔から好きだった、特定のどれというわけではないんだけど、そういうバンドたちの、いちばん純粋で、いちばん思いがはっきりしていたころのような音楽がされていて、ふだんCDを買うことはほぼないのでだいぶ手間取ったのだけど、それでも意を決してAmazonで購入した。
結局たくさん聞いているので、とても良い買い物だったのでしょう。このなかでもとくに「三番線」という曲が好き。
このアルバム以降の曲のいくつかは、ミュージックビデオつきでYoutubeで公開されている。「不可逆のユニバース」はそのなかでもいちばん好き。ゆったりと包み込むようなリズムの曲のなかに、張りのあるダイナミックなボーカルが響いていて、節ごとの展開もドラマティック。「不可逆のユニバース」という、不可解で巨大なタイトルとのマッチ具合も素晴らしい。それぞれのメロディーがそれぞれ印象的なのに、全体としての統一感もあってきれい。とっても名曲だ。
先日、ムラタユスラさんは自身の誕生日を記念したYoutubeリモート弾き語りライブをやっていて、その際にこの曲も演奏されていた。「ギターではあまり披露したことのない曲。ピアノで作った曲なので、ギターで弾くと大変なことになる」と本人も言っていたとおり、たしかに異様な感じになっていてそのバージョンも好きだった。
外出自粛支援なのか、最近はロックのアンセムを全部自分おうちアンサンブルで公開してくれている。Blurの「Tender」は死ぬほど好きな曲なので、この動画がYoutubeトップページのあなたへのおすすめ欄に上がったときはまじかと思った。
コーラスの映えが素晴らしく、浸れますね。
こちらはBeach Boysの「Sail on, Sailor」、素晴らしいんだけど、タンバリンがカットインしてくるところで毎回ちょっと笑ってしまう。