東大入試の競技性

 

 3月10日*1は東大入試の合格発表・デイである。観測範囲に東大を受験するTwitterアカウントだったり、YouTubeチャンネルだったりがあったため、今年の3月10日はそのかたがたが受かったり落ちたりするエモいさまを見ていた。

 

 自分が受験したときはいやでいやでしょうがなかったが、いったん第三者になってみると、人間が試験に臨む姿って面白いんだな、……とぼんやり考えていた。しかし、そういうコンテンツでいちばんの見どころになるのは、本番当日朝の様子とその後の合格発表であり、いちばんの主題であるはずの試験そのものがブラックボックスになってしまうのがもったいないな、とも思った。

 試験、というそのものも、事前に周知されたある形式のもと得点を競い合うスコアアタックであり、それ自体けっこうおもしろいはずなのである。

 

 そういう観点から、記憶を頼りに、東大入試の各科目がもつ面白さ、競技性について、コメントをつけつつ100点満点で採点してみたい。

 

国語 2点(ただし一部のひとにとっては68点)

 東大入試の国語といっても難読漢字が出題されるわけではない*2。問題はいずれも、問題文にすでに書かれていることを読み取って答えるだけなので、面白みという点ではまったく評価できない。東大入試では珍しく時間も余りがちなのでタイムアタックの要素もない。2点である。

 ただ、中途半端に試験慣れした受験生は、2行という限られた回答枠に加点ポイントを取捨選択せずすべて盛り込むための、「いかに文字を小さく書けるか選手権」を勝手に開催してしまうことがあり、これはけっこう楽しいので()つきで68点とした。

 

数学 0点

 僕は80点満点中7点しか取れなかったので、採点に私情を挟まないのは難しい。

 

英語 98点

 東大の英語は設問がとてもバラエティ豊かで、しかも毎年毎年微妙にマイナーチェンジするので何年受験しても飽きがこない。

 長文読解、英作文、リスニングなどおなじみの問題形式もあれば、「英文を日本語で要約する問題」「パラグラフがばらばらになった英語の文章を並べなおす問題」などほかではあまり見ないようなユニークな問題もある。受験英語十種競技のような感じである。

 問ごとに微妙に違った種類の英語力が必要で、得意不得意も別れやすい。どれから順にやっていくか、攻略順を練る楽しみも深い。

 

社会 100点

 世界史、日本史、地理から2科目を選択し、好きな順番に解いてよい。いったん世界史をやって、詰まったところで地理を解いて、また詰まったら世界史に戻ってくる、ということもできる。もうこの時点で楽しくないですか?

 日本史と地理は、資料を与えられてそこから論述する問題がとてもロジカルで良い。世界史はそのふたつよりはちょっと知識偏重気味だけど、そのかわり、「420~600文字で世界の歴史を、お題に沿って記述する大論述問題」という全大学受験のなかで一番クリエイティヴィティをくすぐられる問題がある。文句なく、100点でしょう。

*1:レミオロメン・デイの翌日。

*2:漢字の書き取り問題は5問あるが、東大入試にチャレンジするようなひとであればまず書ける漢字である。