PAmw-B38

 

 最近は(いつもだけど)ひたすらインターネットをしている。なにかを投稿したり、だれかと交流するといった能動的なインターネットではなく、すでに存在しているページをひたすら、力の限りクロールしていくという受動的なインターネットである。

 

 そんなときにPAmw-B38というとてもいい文字列に出くわした。この文字列自体が関連する事象全体をあらわすコードネームのようになっているため、これをそのままドラッグして検索すると、これがなんのことなのかわかるようになっている。文字列そのものは知らなくても、検索して出てくるものに見覚えがあるひとはけっこういるのかもしれない。

 

 

10月5日、僕の彼女が突然姿を消しました。最初は友人の家でも行っているのかと気にしていませんでした。しかし彼女は2週間たっても帰ってこなかったので、友人の家に電話してみました。でも友人は家に彼女は来ていないと言ったので、心配になり警察に調べてもらいましたが、彼女はいなくてすぐ捜査は打ち切りになってしまいました。[中略]2週間がたちました。その日、自分宛に手紙が入っていました。中身をみてみると、彼女の写真がたくさんありました。しかも、目かくしをされていて、口はガムテープで縛られていて、拷問を受けているような写真でした。僕はすぐに警察にいきましたが一度打ち切りになった事件は相手に出来ないと言われ帰ってくれと言われました。なぜ相手にされないんだ?彼女が誘拐されたのに!!!、と僕はそのとき警察を 憎んで いました 。しかし、僕は重要な事に気がつきました。警察が憎いのでは無い、僕の彼女を誘拐した犯人が全て悪く、憎いんだと。[中略]
…生きていてほしい、僕の彼女にも会いたいからです。彼女と遊んだ日は僕の宝物です。そしてその宝物の時間を取り返すためにこのメールを作りました。僕は、精密機械に詳しい友人と一緒にPAmw-B38という機械を開発しました。このメールが今どこにあるか誰がもっているかわかる機械です。[中略]
お願いですから、犯人を探すために協力して下さい。これ以上犠牲者をだすのは悲しいのです。このメールはただのチェーンメールではありません。事実です。お願いします。彼女のためにも…。

 ウィキペディアの記事にも上記の文例が記載されている、代表的なチェーンメールである。チェーンメールの送り主が精密機械に詳しい友人と開発した、チェーンメールの配送状況を遠隔で確認できる機械があり、その名前がPAmw-B38なのだという。

 

 Wikipediaによると(それ以上の典拠は不明だが)2005年ごろからネット上で広まっていたメールらしい。いまの時代ならアプリとかになりそうなところが「精密機械」になっているのが時代性を感じてキュート。文面も全体的に、いまではない、べつの時代がたしかに存在したことを感じさせてくれるような魅力があって、結局これがもとで、その日はチェーンメールの収集例にひたすら目を通すことに費やされてしまった。いままでとくに気にも留めていなかった世界の領域がこんなに魅力的だったのかと気づくのは楽しすぎる。

 

 実際に昔受け取った覚えのあるメールもいくつかあった。なつかしいキャリアメールの時代。……と思ったが、

 

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 コンテンポラリーな検索窓にこの文字列を入れてみたところ、どうやらまったくおなじメールがいまもTikTokのDMとかで拡散されているらしい。さすがはチェーンメールの代表作、すごいですね。しかも二番目の人の「俺はまだ12歳と幼い、だけど、今こんなに詐欺も話題」というリリックすごくないですヵ? 本当に12歳ならまぢ天才ぢゃん。。