どうしてこんなに貴方に貴女にまた会いたいんだろう

 

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 でんでけあゆみ(Vo)、豊島“ペリー来航”渉(Gt/Vo)、アサヒキャナコ(Ba)、鬼ヶ島一徳(Dr)の不動の4人体制でつづいているバンド、バックドロップシンデレラは、基本的にはコミックバンドなんだと思うんだけど、そういうバンドがまれにセレスティアルな佳曲をリリースしたときの美しさは卑怯なほど筆舌に尽くしがたい。

 

 僕が初めて聞いたバックドロップシンデレラの曲はこれである。「突き進め柏~♪ 止まらない柏~♪」という柏レイソルの応援歌(チャント)の替え歌元になった曲だった。曲の持っている謎に晴れやかなリズムと熱気にやられてしまった。

 

 彼らは彼らのもつ音楽性を「ウンザウンザ」だとしている。これは、エミール・クストリッツァ&ノー・スモーキング・オーケストラの楽曲、「Unza Unza Time」からきた言葉らしく、このような東欧の伝統音楽と、日本語ロックを融合させた音楽を目指しているらしい。

 この試みは死ぬほど成功していると思うし、個人的にエミール・クストリッツァの映画がとても大好きだということで、この事実を知った瞬間このバントに心置きなくはまった。

 

 いちばんなんども聞いたのはこの曲、「サンタマリアに乗って」。騒がしい。祝祭。フローリッシュ。そんななかややゆったりとした広がるようなサビのメロディーが本当に美しい。そして僕も愛する曲見つけてしまったよ。

 

 フェスに出たいという気持ちを歌いあげた「フェス出して」は名曲だし、そのアンサーソングである「フェス出れた」も名曲だった。

 

 浦和市と大宮市の合併に巻き込まれた与野市。そのゆるキャラ、よのっしーによって指揮された与野市解放戦線の戦いと犠牲にささげられたこの曲も素晴らしい。音楽的なバックグラウンドがしっかりしていて、狙った場所に狙った球を投げているし、その優等生がふざけているいけすかねえともとられかねない音楽を、野生の異能としか言いようのないボーカル、でんでけあゆみが効果的に崩している。すごいバンドだ。

 

 さて、そのバックドロップシンデレラが先日発表したのがこちらの「祝え! 朝が来るまで」というバースデーソングである。最初はアンセム感がありすぎてすこし狙いすぎか?とか思っちゃったんだけど、包み込むようなサビのあと、原点に戻るかのようなウンザウンザのリズムで歌われる「どうしてこんなに貴方に貴女にまた会いたいんだろう」で崩れ落ちてしまった。

 

 年季の入った、安心のできるいいバンドです。ぜひ聞いてみてね。