あのファイナルでの悔しい敗戦からはやいもので3か月以上が経って、今年もまたUEFAチャンピオンズリーグのグループステージが始まった。ポット2に振り分けられたトッテナム・ホットスパーは、バイエルン・ミュンヘン、ツルヴェナ・ズヴェズダ(a.k.a.レッドスター・ベオグラード)、オリンピアコスと同じグループで戦う。
典型的な2強2弱のグループのように見えるが、ツルヴェナ・ズヴェズダもオリンピアコスも、とくにアウェーで簡単に勝ち点を持ち帰れるような相手ではない。スパーズだって、安定感を持ってグループステージを脱出できると楽観できるような完成度ではない。去年と同じ決勝の舞台に立つには、きっと激しい戦いが必要になる。
そんななか迎えたチャンピオンズリーグの1戦目は、こんなかんじでした。アウェーでオリンピアコス相手に、2点取ってドローというのは数字だけ見ればそこまで悪い結果ではない。ただ、ちょっと内容は褒めるような感じではなかった。
オリンピアコスは普通に強かった。バックスの4枚をペナルティエリア幅において、陣形をコンパクトに保つ。大外に出たボールはサイドハーフが走って対応し、それに応じて中はパスを通されないようにスライドする。スパーズのDFラインでのボール回しは放置してスペースを守ることを優先するけれど、アルデルヴァイレルトだけは危険なので9番のゲレーロがチェックに行く。ゴール前まで運ばれたら、個人能力のある2枚のCBを中心とした守りで、フィニッシュまで持ち込ませない。言葉で書くと簡単だけど、これを実際にやるのは難しい。先日のクリスタルパレスも、コンセプトとしては同じ守備を実行しようとしたのかもしれないけれど、そのときはスパーズがやりたい放題だった。
こういう強固な守備ブロックを持つ相手を崩すには、ブロックの外、とくにサイドでボールを保持し、被カウンターのリスクをケアしながら、すこしずつブロックをずらしていく、というような作業をしなければいけないが、スパーズにそのような形は見えなかった。
なんというか、キーパスを入れ急いでいるというか、簡単に勝とうとしているというか、焦れているというか、そんな感じ。
相手の不如意から簡単に2点入れて、楽勝ムードが早い段階で漂ってしまったのも大きかった。もちろん、チャンピオンズリーグファイナルのようなテンションを1年間持続するのは無理なのはわかるし、この3週間にはもっと大事な試合がたくさんあるというのもわかるけど、もうすこし、もうすこし難しく戦えば勝てる試合だったと思うんだけど……。
とはいえ、結果は悪くない。このドローがどういう意味を持つのかは、今後のグループステージの戦い次第である。