「胞衣」←なんと読むでしょうか?

 

 「えな」と読む。人間の胎児が生み出されたのちに排出される胎盤・卵膜などを意味する言葉*1である。

 その胞衣は、昔は、栄養になるということで食べたり、呪術に使ったりしていたらしいが、いまは医療廃棄物として特別なルートで処理しているらしい*2。加工された一部は薬の原料になるんだそう。その処理をしている工場が、まあ歩いていけなくもない場所にあったので散歩の途中に寄ってみた。

 

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 ただ通っただけで、何かをしたわけではない。(詳しくはないけれど)センシティブな問題がある可能性もある。すくなくとも、世の中には胞衣というものがあり、それにかかわる仕事があるのだということが個人的な好奇心の琴線に触れた。タイミングを見つけてすこし勉強をしてみようと思います。ちょっと前は関係性に興味があったけど、いまは本当にすべての仕事に興味がある。もっといろいろな仕事をしてみたい。

 

 そのあと、あまりにも暑かったのでずるして都電荒川線に乗っておうちに帰ろうかな、と思って料金表を見てみたらなんと都電荒川線は一律料金で、どこまで乗っても同じ値段だという。長く乗ったほうが得ということなので、とりあえず飽きるまで乗ってみることにした。もっとガラガラだと思ったけど平日昼の車内はけっこういっぱいだった。飽きてはいなかったが、面影橋というとても良い地名の停車場についたのでそこで降りた。

 

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 神田川沿いをすこし散歩して、近くにあった「金子」という軽食屋でコーヒーを飲むことにした。ここの主人が話好きの面白い人で、東京府東京市芝区に生まれ(戸籍をとると今はなにひとつないこの地名が今も記載されているらしい)、虎ノ門にあるりっぱな蕎麦屋の分家に育ち、本家のドラ息子が家業を傾かせていくのを尻目に見ながら、自分は「水を売るほうが楽だ」という理由で喫茶店を始め、それからいまのこの豊島区の隅っこでこのお店をやるにいたるまでの物語を聞かせてくれた。

 

 ほかには東京のお話。荒川区に住んでいるということを言ったら、荒川区がどのような歴史的経緯のある町で、どんな性格をしている人々が住んでいるのかざっと素描してくれた。東京のもの作りが始まる土地で、荒川から始まり都心に向かっていくにつれて生産物は完成品に近づいていくのだという。そこに住んでいる人には職人気質があって、人をだますことはしない。

 

 軽食屋ではうどんとかつ丼を出していたが、店主曰くうどんは冷凍ものらしい。そのほうが楽だし安くできるし、さらに、いちおう修行も積んでいる店主自身が作るよりもうまいらしい。こういうことをカラっと言うのはかなりかっこいいと思った。たしかに、てもとのアイスコーヒーもとくにおいしいわけではなかった。いいお店だ。

 

 そこからは高田馬場へ。閉店セールをしている靴屋さんがあったので急遽格安で靴を手に入れた。そろそろ買わないとって思ってたんだった。

 

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 高田馬場の南側で見つけたグラフィティ。「グラフィティ(落書き)は無視された者たちの言葉である」

 

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 さらに歩いていくと、東京グローブ座などがある、文化的な住宅地があった、――と思いきや道を一本わたると一瞬で新大久保の雑多な通りになったりする。この連続性と非連続性が東京の面白いところですね。