福井へ


 沖縄へ帰省することにした。東京がちょっと寒いのでまたあったかくなってきたら戻ってこよう。


 ただ沖縄に帰るのも飽きてきたので、今回は趣向を変えて、福井県を経由して沖縄へ帰ってみようと思う。福井県といえば、個人的な話になるが、織田信長朝倉義景を討ち滅ぼしに行って以降、だれかが福井県に行ったなどという話は聞いたことがない。

 それならば、僕がひさびさに行ってみるのも悪くないのではないでしょうか。


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 バスに乗り込んで福井へ。東京から長距離バスに乗るとき、チケットを確認してくれる添乗員さんがこれから向かう土地の訛りで喋ってるのを聞くのが、「旅のはじまり」という感じがして毎回好き。


 夜行という選択肢もあったんだけど、今回はコスパではなく、景色とサービスエリアというエンタメ性を重視して昼のバスを使う。3列シートでトイレも車内にある快適なバスでした。乗っているひともほとんどいない。


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 ちょうど東名高速道路が工事中とのことだったので、中央道を通って名古屋へ、そのあと米原ジャンクションで北陸道に乗り換えて北上するというルートをバスはたどる。

 山道なので、外に出るとやっぱり寒い。でも、サービスエリアにはちょっと薄着で出かけて、バスのなかのこもった空気を気分的にリフレッシュするのが好きだったりもする。


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 サービスエリアを3つ越えるとそこは福井だった。バスを降りるときに、地元のかたらしいおっちゃんが運転手さんと「採算とれんのかいこれで」「今日だと無理ですねえ」という会話をしていて情感深かった。みんなもうすこし福井に行くひとがいてもいいと思う。


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 駅前アーケードにあった定食屋と飲み屋さんの中間のようなお店で、越前おろしそばというご当地料理を食べる。おばちゃんが配膳のときに「つけるんじゃなくてかけて食べるんだよ」と念を押してくる。そう言われてもまあまだでもつけて食べたい気持ちのほうが大きかったけど、あんまりなににでも反抗するのはよくないなと思ってかけて食べることにした。最近は反抗的な態度を改めているところなのだ。


 強力粉でつないでいるというかなり硬めのそば麺に、辛みの強い大根と、すっきりと淡白な関東風の出汁つゆが混じりあって、けっこう癖の強いというか、一筋縄では語れない料理になっている。

 僕はふだん油の丸みがあって、旨味と塩味が強くて味の濃い料理しか食べてないのだけど、それと重なる部分がひとつもないお蕎麦だった。とてもおいしかったので、みなさまも福井にお越しの際はぜひ。