そういやきょう授業で、「いる」と「ある」の違いを「水族館に魚がいる」と「冷蔵庫に魚がある」の例を使って説明したら、何人かの学生がうっとりしたわね。たしかにね、魂の有無で異なる動詞を使うなんてなかなか洒落ているよね。
— Umineko1848🇩🇪 (@Umineko1848) 2023年2月1日
というツイートを見かけて、魂があるかないか微妙なものについて、自分が「いる」「ある」のどちらを自然に使うかどうかやってみることで、自分がそれを「魂あり」とみなしているのか、「魂なし」とみなしているのか調査できるのではないかと思った。
まず思ったのが「サンゴ」。みなさんはサンゴに、「いる」と「ある」のどっちを使いそうですか? 「サンゴのいる海」「サンゴのある海」、……うーん個人的には「いる」△納得度6割、「ある」×納得度1割くらいかな~と思うのですが。
でも、砂浜を歩いていて、打ちあがったサンゴの破片を見つけたときには「サンゴがあった!」というと思うので、ここでも冷蔵庫の魚現象は起きていそうですね。
次は「卵」。これはスーパーに並んでいるものも、野生の鳥の巣の中にあるものも「ある」を使うと思う。スーパーはともかく、野生の鳥の巣の中にある、完全に「命」のやつにも自然と「ある」を使っちゃうの不思議だなと思いました。
では、架空の存在、たとえばポケモンとかはどうだろう。……と思ったのですが、ポケモンはどんなに見た目が「もの」に近くてもさすがにノータイムで「いる」だろう、という気がする。「シロデスナが手持ちに……、いる」としか言わないよなさすがに。
うーん。見た目はどうも城だけど、「いる」だよなあ……。
あとですが、そういえば、生物なのかどうなのか議論になっているものの代表例といえばウイルス。ウイルスを見たとき、「ウイルスがいた!」と思うのか、「ウイルスがある!」と思うのか、どっちなんだろう。これがわかれば、ウイルスは生物か問題、完全解決だと思うのですが……。
とはいえ僕はウイルスを見たことがないので個人としては何も言えない。生物系のサイエンスをやっていた経験がある人とかに聞いてみたいな、と思いました。*1
聞いてみたいといえばウイルスまでいかなくても、ふつうの細胞でどうなんだろう、というのも思う。たとえば、ミドリムシとかの単体で生物になっている細胞だったら「いる!」と思うのかもしれませんが、単体では生き物じゃない細胞はどうなんでしょうか。
「STAP細胞」は「ある」だったので*2、それくらいになると「ある」なんでしょうけど、マクロファージとかは微妙だったりしないかな。
もういくつか話題を。たとえば「スタンド」はどうでしょうか。これは、(僕もスタンド能力を持っているのでわかるのですが)けっこう文脈によるのではないかな、と思う。
たとえば、敵のスタンドが後ろに回り込んで来てこっちを殴ろうとしている、――ということに気づいた瞬間には「スタンドがいる!」と思うだろう。一方、自分のスタンドに自信を持っていて、ピンチでも不敵にほほ笑んでいるときには「俺にはスタンドがあるからな」と思うと思うのである。
具体的な「生き物のような個別のなにか」を思い浮かべるときには「いる」、そうではなく、抽象的に自分の特殊能力を指すときには「ある」となるのである。
スライムもりもりドラゴンクエスト 衝撃のしっぽ団 | ULTIMATE HITS | SQUARE ENIX
文脈によって変わる例をもうひとつ思いついたので。(どれだけに伝わるかはよくわかりませんが)スライムもりもりというドラクエ外伝のゲームがあって、スライムとかももんじゃとか、ドラキーとか、ドラクエでおなじみのモンスターたちが登場します。
これらは、「スライムがいる」「ももんじゃがいる」でOKなんですが、この「スライムもりもり」というゲーム、「ばくだん岩」というアイテムが登場するんですよね。
上の画像にある赤い木の実とかとおなじクラスの登場オブジェクトなので、このゲームをしている人は、「ノッケの森にはばくだん岩がある」「ノッケの森にはももんじゃがいる」と言い分けるだろう*3。でも、ドラクエ本編で登場した場合は、どちらもモンスターだから、ばくだん岩も「いる」である。
ほかにも「いる」「ある」の使い分けが微妙な例を思いつこうといまは頑張っています。法則はどうでもいいんです。事例のほうが、法則よりも好き。
こういうのとかね。
将来は、「いる」のか「ある」のかよくわからないもので部屋をいっぱいにして俺も輪郭曖昧になりたい。