短歌 42

 

スコールは夏の涙か鞄ごと濡れてしまった「腹腹時計

 

 

傘がないから相合傘あきらめて濡れながらゆく雨の裏拍

 

 

「わが手で守ろう わが街 わが家」と消火器が並ぶ僕たちの街

 

 

鉄骨をむき出しにして死んでいく大きくて強いものになりたい

 

 

摩天楼ひらりとかわす鳩たちが世界の午後を埋めつくしてる

 

 

雪の夜も雪を溶かしてやりなおすことのできない深さだ海は

 

 

夜汽車に読書の明かりてんてんと「highlight」には黙字がいっぱい