今月分のLINEスタンプ購入予算、まだ余っていますか?
ダイヤモンドクラウン - LINE スタンプ | LINE STORE
余っているなら、ぜひ「Go to Italy」ブランドのスタンプをお勧めしたい。なんとも言えない表情をした人の顔に、なんとも言えないワードがひとつ書かれている、コンセプチュアルなスタンプだ。
一個買うとこんな感じ。顔はそのままでいろいろな言葉が入っている。これらの語彙をLINE上で使うことができるようになるのだ。決して損な買い物ではない。
この「Go to Italy」さんというクリエイターは、おなじ発想で大量のスタンプセットを作っている。今回は、そのなかでも僕がとりわけ好きな言葉をセレクションした。ショッピングの参考になれば幸いだ。
Drunk.. - LINE スタンプ | LINE STORE
まずはこちら、「Dj edm」だ。DJとEDMを同時に表現することでパーティー感がいやおうなく高まっている。しかし、意味を無にして字面だけを見ればなんとなくヘブライ語の祈りの文章のようにも見える。この多義性こそが特筆すべき点である。
音楽で高まったあとは右下にある「キスされている」のスタンプを使うことで、出来事の流れを生々しく表現することもできる。
レッドアントエッグサラダ - LINE スタンプ | LINE STORE
「レッドアントエッグサラダ」に収録されている「甘い魚醤とマンゴー」というのもいい響きの言葉だ。東南アジアの盛り場、屋台、蒸し暑い夏の一夜の肉感的な恋愛、……といったものを想起させる。LINEスタンプの域を超えていて、もはや映画である。
チキンとビール - LINE スタンプ | LINE STORE
「月明かりの下で孤独」、まさに詩を感じるとてもよいフレーズだ。この孤独はやり場のない悲しさであるが、同時に、人間が生きていくうえで絶対に必要なものだというポジティブな意味あいが込められているようにも聞こえる。
隣りの「そばを友達にしよう」が解決になっているようでなっていないというのも詩想として際だっている。
豊かなクスクス - LINE スタンプ | LINE STORE
先ほどの「月明かりの下で孤独」が詩のフレーズだとしたら、こちらは写実性と実験性を両立させたポストコロニアルなアフリカ文学のタイトルのようである。治安の悪化した故国を幼少期に離れ、ヨーロッパの旧宗主国でアイデンティティに揺れながら生きる主人公は、クスクスの皿が並ぶ食卓のイメージのなかに、歴史のなかの一枚の枯葉である自分自身を見つけるのだ。
バレンタインガールズ - LINE スタンプ | LINE STORE
ふつうにスタンプとして有用なものもちょこちょこ(1セットに1個くらいは)ある。芸術の言葉とは生活から遊離したものであってはならず、むしろ日常のなかにあふれているものである、……という作者「Go to Italy」さんの美学的態度がそこには反映されているのだろう。