すごいぞ、議事録マン!

 

 最近はインターネットをたくさん見ている。とくに先日、となりの席の上司が「トリチウム水が放出されるらしいぞ」と話しかけてきたのに対し、「やばいっすね!」と答えてからは、たくさん見ている。

 

 この処理水ポータルサイトというページがとても良かった。書かれていることに、書かれているのとは別のこと、それ以上のことやそれ以下のことを伝えようとしているような含みやニュアンスが感じられず、(事実レベルで嘘が書いてあればそれまでだが)ある程度、批判的読みかたの緊張を解いて読むことができた。

 

 ここにたどりつくまえにいろいろなところの記事を読んだりもしたのだけれど、やっぱり、書かれていないように思えるところや書かれすぎているように思えるところが気になり、この公式サイト(?)を越えるようなものはなかったと思う。

 

 「情報を過不足なく書いて発表しておく」というところに職責が発生するようなセクターの文章は、へたな、……どころかたいていのメディア(この人たちは書いて「発表する」というよりは「読まれる」ところに職責が発生する)より良いことが多いな、とこの1年はずっと思っていた。

 

 そのポータルサイトからリンクされているこの汚染水対策会議の記録などはほんとうに面白かった。なんせ、国家的事業の方針を決める大事な会議。いろいろなところから情報を集約して、それをその場にいる全員がわかるようにまとめて、解説して、「理解り」が発生したうえで、方針を決めなければいけないので……、

 

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 信頼できるソースのある情報がわかりやすい解説付きで展開されることになる。これだけの「知」の量があるスライド、大学の教養課程以降ひさしぶりに観た。

 

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 しかも完全書きおこしの議事録までついている。こんな細かいところまで書かせるなんて、ブルシット・ジョブじゃん…! って、議事録を書かされる側になったときは思って最強の手抜き議事録を作ってしまうんだけど、いざ読む側にまわると、完全に書かれた議事録って神ですね。ほんとうに黄金の価値があるドキュメントだ。だって、授業が完全に書きおこされているノートを友達から借りているようなものですからね。

 

 プロセスの民主的検証のためにあるものだとは思うけど、シンプルに知的好奇心が満たされる。

 トリチウム水の放出に至った経緯や、トリチウム水の性質に関しては疑問に思うところがいくつかあって、メディアの記事ではなかなかそこまで掘り下げたものがなくて困っていたのだけど、この議事録と資料をあたりをつけて読むことでだいたい納得することができた。

 

 ちょっと今回の決定に納得がいっていない人や、原子炉の後始末に知的な興味がある人には、とてもおすすめのサイトです。