太古からの9+2構造 ほか

 

太古からの9+2構造
太古からの9+2構造――繊毛のふしぎ (岩波科学ライブラリー)

太古からの9+2構造――繊毛のふしぎ (岩波科学ライブラリー)

  • 作者:神谷 律
  • 発売日: 2012/02/09
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

体には無数の毛がある
心臓、肝臓、腎臓から脳まで繊毛という毛が生えている

生命の始まりからあらゆる生き物が受けついできた
なくてはならない毛だ

しかも、どの毛も9本の管からできている

 本の表面に書かれていたこの煽り文句がかっこよかったので思わず読んでしまった。細胞に映えている「繊毛」と呼ばれる毛について、発生、進化的起源、構造、運動の仕組み、医学的応用、研究史、将来の展望……、といったテーマでざっくり解説してくれる面白い本だった。

 

 繊毛が実は人間の体の左右を決めているため、繊毛を作る遺伝子が変異すると体の右側に心臓があるひとが生まれてくる、……といったようなキャッチーな話題もありとても楽しい。

 

そこで、サマーズはタンパク質分解酵素で処理してからATPを加えたのである。なぜタンパク質分解酵素で処理しようとしたのかはわからない。勘が働いたのだろう。

 

売れ残り

f:id:kageboushi99m2:20210126185631j:plain

 近くのコンビニでやっていたワゴンセールにあったお酒を買ってきた。かごに入れたときは「お得なお酒だ!」以外の気持ちはなかったのだけど、家に持ち帰ってじっくりラベルを読んでみると、夏限定SUMMER LIMITED EDITIONのスタンプが、不人気商品の烙印に見えてしまいせつない。

 収穫後24時間以内搾汁、と誇らしげに書かれているが、ということは収穫から6か月と24時間ほどたっているということになる。アピールポイントにはなっていない。

 

 ……とはいえ、飲んでみたらふつうにおいしかったですね。こういうRTDで人工甘味料を使っていないだけで個人的には推せます。どこかのワゴンで見かけたら、ぜひ買ってやってね。

 

Blutch

f:id:kageboushi99m2:20210129224504p:plain

 アマゾンプライムに追加されたことにより、多くのひとの目に触れ、すでに日本でも着実に評価を得つつある映画「Blutch」を、……特別な理由がないのであれば見たほうがいいですよ、みなさん。

 

 山男のJean Yves Fredriksenさんが、あるときふと「パラグライダーでヒマラヤ山脈を端から端まで行ってみたらどうなるんだろう」と思い、それを実行に移した4か月の映像である。

 中央アジアの急峻な山々の上を飛ぶ、人よりももしかしたら鳥に近いかもしれないJean Yves Fredriksenさんは、常に笑顔を絶やさずに旅をする。旅の合間には着地し、携えたヴァイオリンを奏で、人里に下りてそこに暮らす人々とつかの間の交流を楽しむ。

 

 冒険ものドキュメンタリー、といってもいいんだけど、それにつきものの過激なシーンや過酷なシーンはない。尺のすべては、美しいヒマラヤの風景と、人々とのやわらかな交流で満たされている。なんか途中着地をミスったっぽい*1シーンもあるのだけど、そんな場面でも深刻になることはなく、「でも、続けるよ」みたいなことを言って旅を続ける。

 

 こちらがトレイラー。トレイラーでは人々とのかかわりに重点が置かれて紹介されているが、本編にはひとりで空を飛ぶシーンも人々とのかかわりとおなじくらい収録されている。関わり合いが好きな人にも、孤独が好きな人にもひとしくお薦めできる素晴らしい映画だ。

 

 このトレイラーには英語字幕がついており、「本編を見たあとトレイラーを見て、本編に関する情報が増えた」というあまりない経験をした。

 

*1:じつはこの映画、全編フランス語なので、なにが起きているのかは僕には大まかにしか把握できなかった。