ビール缶から戦艦まで ほか

 

呼吸器以外で音を出していることっていくつあるのか?

 2018年に描かれた「鬱ごはん」という漫画のひとシーンらしいのですが、かなり文学的でかっこいい「黙食のすすめ」ですね。

 

 ただ、たぶん体の構造?的に考えると、口がものを食べる器官であるから、というよりは、口が呼吸器の一部(出入り口)であるというのが、口が発声器官であることの理由な気がする。

 詳しくは知らないので推測ですが、進化の過程?的には、まず外気を取り込む呼吸器が先にあって、その「空気を動かす」という機能を副次的に使ってみたのが発声器官なのではないでしょうか。

 

 そこまで考えてさらに疑問に思ったのは、では、生物としての活動に音を活用する生き物で、その音を呼吸器以外を使って出しているのはどれぐらいあるのかということ。

 

 ぱっと思いついたのは体を叩くゴリラや、羽をこすり合わせるコオロギなのだけど、それ以外の例がなかなか思いつかない。コウモリやイルカの超音波がそれ…?とも一瞬思ったけど、口から出しているような気もする*1

 なにか、「呼吸器以外で音を出している生き物」の例を知っていたらLINEで僕に教えてくれると嬉しいです。

 

ビール缶から戦艦まで
錆と人間 (ビール缶から戦艦まで)

錆と人間 (ビール缶から戦艦まで)

 

 ジョナサン・ウォルドマンさんというひとの書いた『錆と人間』というノンフィクションを読んでいた。こういう、生活のそばにあるんだけどふだんはクローズアップされないワントピックに絞っていろいろなことを調べてそれを読み物にまとめる、というのフィクションはたいがい面白いのだけど、これもとても面白かった。

 

 缶業界の集まりに潜入したときの話をバックストーリーにしながら缶と錆の関係について語る章、自由の女神に無許可で上ったとあるひとたちの話と絡めて語られる女神の錆とりプロジェクト、パイプラインを内側から走る錆検知小型ロボットに錆びついた廃墟を撮影する芸術家に密着した回など、「錆」にまつわる面白い話が目白押しである。……そんなに読みやすくは書かれていないので、ちょっと読書力が要りますが、おすすめ。

 

やる夫で学ぶ陶芸入門

 「ゼーガペイン」という文字列をインターネットで見かけたので、ふと思い出して10年ぶりくらいに読んでみた。2009年~2011年くらいの僕はやる夫スレにめちゃくちゃはまっていて、この時期の話は有名なものは大半読んだと思う。

 

 「やる夫で学ぶ陶芸入門」は、知っていることを語ることの良さとお話を語ることの良さがゆるく結合した、非常にフォークな作品で、このあと「舞浜シリーズ」と呼ばれることになる非常に支持された一連の作品群の第一作になる作品である。いま読むと、とくべつ尖ったところがあるわけではないのだけど、かわりにあたたかさとかわいらしさがある。

 

 ……さすがに昔すぎる作品なので作中のリンクはほとんど死んでいて、「入門」としての機能はちょっと限定的になってはいる。たった十年たっただけなのに、……オンラインのものはほんとうにすぐ滅びていき、記憶のなかにだけ当時のままの形で残っている。

*1:調べてない。