一瞬の隙が物語を逃した~プレミアリーグ第9節 マンチェスター・Uvsリヴァプール~

 

 イングリッシュ・プレミアリーグの第9節、マンチェスター・ユナイテッドvsリヴァプールFCの試合を見た。

 

 リヴァプールは第8節までのリーグ戦を全勝しているとても強いチームである。一方、それをホームで迎え撃つマンチェスター・Uはこれまで8試合で2勝3分3敗。なんでそんなことになっているのかはよくわからないが(といっても最近のマンUは大体いつもこんな感じのような気もする)、数字だけを見ると、いまのところふつうに弱いチームである。

 

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 全体としてはかなり面白い試合だった。マンUは最近はうまくいっていないけど、リヴァプールのような強い相手とやるときには選手もみんな張り切るので、この試合をきっかけにいい流れになるかもしれない、と解説員の川勝良一さんは言っていた。いや毎試合張り切れよ、と素人目線では思うのだが、こんなに一年中ずっと毎週毎週サッカーばっかりやってきたら、やっぱりだるくなってきちゃうのかもしれない。

 

 その言葉のとおり、マンUの選手たちの動きはとても良かった。とくに、リヴァプール得意の中盤戦を受けて立ったマクトミネイとフレッジのパフォーマンスは素晴らしかった。もちろん毎回バトルに勝てるわけではないんだけど、負けても食らいつき、2度目のタックルでボールを奪うプレーとか、ボールを奪い切ったあとにも体制を崩さず、すぐに配球して攻撃を起動し、そのまま前線に走っていくエネルギッシュなプレーなども光った。

 

 36分に、ダニエル・ジェームズのクロスに対して、いったんマティップの前に出るようなそぶりをしてから裏をかいたラッシュフォードが合わせてマンU先制。DFとFWの一瞬の駆け引きが見られたよいゴールだった。

 

 リヴァプールの動きは悪かったわけではないとは思う。ただ一点あるとすればオリギのところで、マンUはトップ2名をちょっと左サイド寄りに配置し、リヴァプールにロバートソンとオリギのサイドを使わせるように誘導していた。ロバートソンにボールが出たら、対面……というには若干遠すぎる位置にいるウィングバックのアーロン・ワン=ビサカが出ていくんだけど、その結果、ロバートソンに時間とスペースがなくなり、オリギは相手DFの手前でボールを受けざるを得なくなる。マネやフィルミーノ、サラーとは違って、オリギはその位置でチャンスメイクできるタイプの選手ではない。対面のリンデロフに簡単に対応される場面が目立った。

 

 60分ごろ、ボールを持ってはスペースに転がし、それを自分で拾って前進するというワンパターンのプレーを繰り広げ、しかしそれがまあまあ脅威になっていたダニエル・ジェームズがピッチに倒れこんだタイミングでマンUは逃げ切り作戦に変更。アンドレアス・ペレイラを1列下げて、中盤の3枚のスライドでリヴァプールサイドバックに対抗する構えを見せる。ボール回収が難しいと判断すると、ジェームズもおりて5-4-1ブロックになったりする。

 

 なんとなく、この記事に書いた昨シーズンのPSG戦を思い出させるような展開だった。もういちど、マンUの物語が見れるのか…?

 

 と思った瞬間、本当に一瞬の判断ミスからユナイテッドは失点。1-1で試合は終わった。失点の場面はロバートソンにボールが出たところで、サイドハーフに入っていた(たぶん)ペレイラとワン=ビサカ、どちらがロバートソンにチェックに行くか一瞬迷ってしまい、今日一試合を通して発揮していた集中がこの瞬間だけOFFになってしまったように見えた。

 

 というわけで大きな勝利にはならなかったけど、試合としてはふつうに面白かった。個人的にはマクトミネイがいちばん気になった選手でした。