幡ヶ谷

 

 わけあって短期間だけ幡ヶ谷に住んでいる。昔友人が住んでいたので一度か二度くらい訪れたことはあるが、いずれも深夜、泊めてもらうために新宿から歩いて行き、翌朝二日酔いの状態で即帰るという感じだったのであまり訪れたという雰囲気ではなかった。

 

 そのため、京王が仕掛けた悪意のある初心者用罠に引っかかってしまった。本当にひどい目に遭ったのでもう二度と間違えることはないだろう。

 

 幡ヶ谷にわざわざ来る用事なんて今後たぶんない。せっかくなのでいろいろと街歩きをしてみた。奥まったところに行くと住宅地があって、遊歩道がそのなかをぐねぐねに蛇行しながら貫いていた。遊歩道沿いの家は、もちろん普通に玄関をこちらに向けている家も多かったんだけど、ちらほら、玄関ではなく勝手口を向けている家もあった。住人の情報によると、このあたりの地下には暗渠があるらしい。たぶん昔あった川なのか用水路なのかとにかく水路を暗渠化して、そのうえをそのまま遊歩道にしたのでしょう。遊歩道の景観に統一感はなかったので、区画ごとに徐々に進められていった事業だったのかもしれない。

 

 そのあとは駅の反対側に移動して、浜屋という居酒屋でちょっとだけお酒を飲んだ。ネット上での評判もすごくて、予約必須・入れたらラッキーという状態らしいので、夕方の早い時間に行った。ら、余裕で入れた。

 カウンターの目のまえには、寿司屋さんにあるような魚を熟成させるガラスのケースがあった。僕の経験上これがあるお店は、寿司屋さんで修業をした元板前の方が始めた、というパターンである場合が多く、仕入れルートが確立しているのか目利きがいいのか鮮魚の保存のしかたがいいのか、理由はわからないがとにかく魚が最強にうまい。写真にあるのは千葉産のイサキの刺身で、490円だった。最強においしかったです。

 そのうえ、プレーンチューハイが脅威の220円。お酒の味もしっかりする、よいチューハイでした。とにかく魚がおいしいのはわかり切っているので、ふたりぐらいで昼~夕方くらいの時間帯で豪遊したいですね。もし興味がある人がいたら行きましょうね。

 

f:id:kageboushi99m2:20190704222208j:plain

 その近くではギャラリーが扉を開けていた。LAの写真家らしい。夜の雑多で庶民的ですこしレトロな光の光景を、鋭く決まった構図で撮っていた。人気がありそうだった。

 

 そのあとは近くにあった(これはたぶんふつうの)遊歩道を散歩したり、セレクト古着屋を見たりした。ちいさな古着屋で、店主はめちゃくちゃ顔が赤かった。レジの上にはワインの瓶が置いてあった。ひと回りして戻ってきたら店は閉まっていたので、店じまいの前のひとときを、飲みながらゆっくり過ごしていたところだったのかもしれない。